AKP（膝の前面痛）とは

膝前面痛（AKP）は、膝蓋骨（膝のお皿）周囲に痛みが生じる症候群の総称です。特に若年層のスポーツ選手や中高年の方に多く、ランニング、ジャンプ、長時間の座位からの立ち上がり時などに痛みが現れることが特徴です。

AKPは単一の疾患ではなく、膝蓋大腿関節のストレス増加、筋力バランスの乱れ、膝蓋腱や周囲の靱帯の炎症などが関与していると考えられています。

主な症状

膝前面の痛み

運動時、特にランニングやジャンプ時に痛みが発生。

長時間の座位（映画鑑賞、デスクワークなど）の後に痛みが強くなる。

膝蓋骨周囲の圧痛

膝蓋骨の上下を押すと痛みが強くなる。

膝のこわばりや違和感

朝や長時間座った後に膝がこわばる。

腫れや熱感

膝前面が腫れ、熱を持つことがある。

膝の不安定感

進行すると膝の安定性が低下し、踏ん張りが効かなくなる。

主な原因

膝蓋大腿関節へのストレス増加

繰り返しの膝の曲げ伸ばしによる関節負荷。

大腿四頭筋の筋力低下や柔軟性低下

筋力が不足すると膝蓋骨の動きが不安定になり、痛みが生じる。

膝蓋骨のアライメント異常

膝蓋骨の位置がずれることで、関節面に不均等な圧力がかかる。

オーバーユース（使いすぎ）

短期間での過度なトレーニングや十分な休息なしの運動が原因。

不適切なシューズや硬い地面での運動

クッション性のない靴や硬い地面での激しい運動が影響。

一般的な治療法

薬物療法（鎮痛剤・抗炎症薬）

NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。

理学療法（ストレッチ・リハビリ）

大腿四頭筋とハムストリングの柔軟性を高めるストレッチを行う。

筋力バランスを整えるトレーニングを実施。

装具療法（膝サポーター・インソール）

膝への負担を軽減するため、膝蓋骨を安定させるサポーターを使用。

関節注射（ヒアルロン酸・ステロイド）

ヒアルロン酸注射で関節の動きをスムーズにし、ステロイド注射で炎症を抑える。

手術（重度の場合）

保存療法で改善しない場合、膝蓋骨周囲の組織修復手術を行うことがある。

自分でできる対処法

適度なストレッチと運動

大腿四頭筋、ハムストリング、ふくらはぎのストレッチを継続的に行う。

運動量の調整

痛みがあるときはジャンプやダッシュを控え、低負荷のトレーニングを行う。

温熱療法を活用する

温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる。

アイシング（急性期）

痛みが強いときは冷却して炎症を抑える。

適切なシューズの使用

クッション性の高い靴を選び、衝撃を和らげる。

血管内治療（カテーテル治療）

慢性化した膝前面痛（AKP）の痛みには、異常な新生血管（モヤモヤ血管）が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因 となっています。血管内治療（カテーテル治療）は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。

血管内治療の効果

• 炎症の抑制 ：異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
• 血流の正常化 ：血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
• 長期的な改善が期待できる ：根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。

特徴

• 低侵襲 ：カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
• 即日帰宅可能 ：治療後すぐに日常生活に戻れる。
• ピンポイントで治療 ：異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
• 再発防止効果が期待できる ：炎症を抑えることで痛みの再発を予防。

血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な膝前面痛（AKP）の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。