帯状疱疹後神経痛
帯状疱疹後神経痛とは
帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)は、帯状疱疹の発症後に痛みが長期間持続する神経障害性疼痛 です。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発症し、通常は皮膚の発疹や水ぶくれが治癒すると痛みも軽減します。しかし、一部の患者では神経が損傷され、発疹が治った後も数か月から数年にわたり痛みが続くことがあります。
特に高齢者や免疫機能が低下している人に発症しやすく、慢性的な強い痛みやしびれが日常生活に大きな影響を及ぼします。
主な症状
持続的な痛み
皮膚の発疹が治癒した後も、ズキズキした痛みが続く。
触れたり、衣服がこすれたりするだけで痛みを感じることがある。
しびれや異常感覚
皮膚がピリピリするような感覚や、しびれが持続する。
痛みの強度が増す
夜間やストレスを感じると痛みが悪化することがある。
感覚過敏や感覚鈍麻
軽い刺激でも強い痛みを感じる(アロディニア)。
逆に感覚が鈍くなることもある。
主な原因
神経の損傷
帯状疱疹ウイルスが神経を傷つけ、痛みの信号を異常に増幅させる。
免疫機能の低下
高齢者や糖尿病患者、がん治療を受けている人は発症リスクが高い。
早期治療の遅れ
帯状疱疹の発症後、適切な抗ウイルス薬治療が遅れると神経の損傷が進む。
神経の過敏化
損傷を受けた神経が異常に敏感になり、痛みが長期間持続する。
一般的な治療法
薬物療法
- 抗てんかん薬(ガバペンチン、プレガバリン) :神経の興奮を抑制し、痛みを軽減。
- 抗うつ薬(トリプタノール、デュロキセチン) :神経の痛みに効果がある。
- NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬) :軽度の痛みの緩和に使用。
- 麻薬性鎮痛剤(オピオイド) :重度の痛みに対して処方されることがある。
局所治療
- カプサイシン軟膏 :神経の過敏性を抑える。
- リドカインパッチ :局所的に痛みを和らげる。
神経ブロック療法
神経に局所麻酔薬を注射し、痛みの信号を遮断。
理学療法・リハビリ
痛みを軽減するためのストレッチやマッサージが推奨される。
自分でできる対処法
ストレス管理
ストレスが痛みを悪化させることがあるため、リラックスできる習慣を持つ。
温熱療法の活用
温かいタオルやカイロで患部を温め、血流を促進する。
軽い運動を取り入れる
適度な運動が神経の過敏性を和らげることがある。
規則正しい生活習慣
睡眠を十分に取り、免疫力を高める。
食生活の改善
ビタミンB群を含む食品(魚、肉、大豆)を積極的に摂取。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した帯状疱疹後神経痛の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える :痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日帰宅可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な帯状疱疹後神経痛の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。ただし、効果の出やすいタイプ(赤みがあるなど)や効果の出にくい部位もあるため、外来での診察が重要となります。エコー検査はなく、診察・問診にて適応を判断いたします。