間質性膀胱炎
間質性膀胱炎とは
間質性膀胱炎(かんしつせいぼうこうえん)は、膀胱の慢性的な炎症によって頻尿、膀胱痛、尿意切迫感などを引き起こす疾患 です。通常の細菌性膀胱炎とは異なり、明確な感染の証拠がなく、抗生物質では改善しないのが特徴です。
特に女性に多く発症しやすく、症状が慢性的に続くことが多いため、生活の質(QOL)に大きな影響を与える ことがあります。
主な症状
膀胱の痛みや不快感
下腹部や骨盤周辺に鈍痛や灼熱感がある。
尿が溜まると痛みが増し、排尿すると一時的に和らぐ。
頻尿
日中や夜間に何度もトイレに行く。
1日に10回以上排尿することもある。
尿意切迫感
突然強い尿意を感じ、すぐにトイレに行かないと不快感が増す。
排尿時の不快感
排尿時に痛みを感じることがあるが、膀胱炎のような強い痛みとは異なる。
性交時痛(女性に多い)
性交中や性交後に膀胱の痛みが悪化することがある。
主な原因
膀胱粘膜の防御機能の低下
通常、膀胱粘膜は尿の刺激から守られているが、その防御機能が低下することで痛みや炎症が生じる。
免疫異常
自己免疫疾患の一種と考えられ、免疫が過剰に働き膀胱を攻撃する可能性がある。
神経の過敏化
膀胱の神経が過敏になり、少量の尿でも強い尿意や痛みを感じるようになる。
慢性的な炎症
長期間にわたり膀胱が炎症を起こし、組織が損傷する。
ストレスやホルモンの影響
精神的ストレスやホルモンバランスの乱れが症状を悪化させることがある。
一般的な治療法
薬物療法
- 抗ヒスタミン薬 :炎症やアレルギー反応を抑える。
- 抗うつ薬(アミトリプチリン) :神経の過敏性を抑え、痛みを軽減。
- 膀胱内注入療法 :ヒアルロン酸やペントサンポリ硫酸ナトリウムを膀胱に直接注入し、粘膜を保護。
理学療法(骨盤底筋トレーニング)
骨盤底筋を強化し、膀胱のコントロールを改善。
食事療法
カフェイン、アルコール、辛い食べ物などの刺激物を避ける。
水分摂取の調整
過度な水分摂取を避け、膀胱への負担を軽減。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、膀胱拡張術や膀胱摘出術を行うこともある。
自分でできる対処法
ストレス管理
リラックスする時間を作り、ストレスを軽減。
骨盤底筋のストレッチ
適度なストレッチを行い、膀胱周辺の筋肉をリラックスさせる。
食生活の見直し
刺激物を避け、消化の良い食品を選ぶ。
規則正しい生活習慣
睡眠をしっかりとり、ホルモンバランスを整える。
適度な運動
軽いウォーキングなどで血流を改善し、症状の緩和を目指す。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した間質性膀胱炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因 となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える :痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な間質性膀胱炎の患者にとって、新たな選択肢 となる治療法です。