術後の痛み

術後の痛み（じゅつごのいたみ）は、手術後に生じる痛みや不快感を指し、手術の種類や個人の体質によって異なるものです。通常は時間の経過とともに軽減しますが、一部の患者では長期間続く慢性的な痛みに移行することもあります。

特に外科手術後の回復期における適切な痛み管理は、患者の快適さだけでなく、リハビリの効果や術後の回復スピードにも大きな影響を与えます。

主な症状

手術部位の痛み

傷口周辺にズキズキする痛みや圧痛がある。

炎症による腫れや熱感

手術を受けた部位が赤く腫れ、熱を持つことがある。

動作時の痛みの悪化

手術後、体を動かすと痛みが増す。

しびれや違和感

神経に影響が及ぶ手術では、しびれやピリピリした感覚が残ることがある。

慢性化する痛み

手術から数か月経っても痛みが続くことがある。

主な原因

組織の損傷

手術による皮膚、筋肉、神経、骨の切開や損傷が痛みを引き起こす。

炎症反応

手術部位の炎症が痛みの一因となる。

神経の刺激や損傷

手術中に神経が刺激されたり、圧迫されたりすることで痛みが持続することがある。

感染症

術後に細菌感染が起こると、痛みが長引くことがある。

慢性術後痛（CPSP）

一部の患者では、手術後に長期間痛みが続くことがある。

一般的な治療法

薬物療法

NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬） ：術後の炎症や痛みを軽減。
アセトアミノフェン ：比較的軽度な術後の痛みに有効。
オピオイド鎮痛剤 ：強い痛みがある場合に短期間使用される。
局所麻酔薬（リドカインなど） ：痛みのある部位に直接作用。

神経ブロック療法

神経に局所麻酔薬を注射し、痛みの伝達を遮断。

理学療法・リハビリ

筋肉の緊張を和らげ、痛みの軽減を図る。

温熱療法・冷却療法

急性期にはアイシングで炎症を抑え、慢性期には温熱療法で血流を促進。

心理的サポート

ストレスや不安が痛みを増幅させることがあるため、リラクゼーションやカウンセリングを活用。

自分でできる対処法

痛みがある部分を適切に保護する

術後の傷口を刺激しないよう、無理な動きを避ける。

適度なストレッチと運動

血流を促進し、筋肉のこわばりを防ぐ。

食生活の改善

炎症を抑えるため、抗酸化作用のある食品（魚、ナッツ、野菜）を摂取。

睡眠を十分にとる

回復を早めるため、質の良い睡眠を心がける。

ストレス管理

リラックスできる時間を作り、痛みに対する精神的な負担を軽減。

血管内治療（カテーテル治療）

慢性化した術後の痛みには、異常な新生血管（モヤモヤ血管）が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療（カテーテル治療）は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。

血管内治療の効果

炎症の抑制 ：異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
神経の過敏性を抑える ：痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
血流の正常化 ：血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
長期的な改善が期待できる ：根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。

特徴

低侵襲 ：カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
即日退院可能 ：治療後すぐに日常生活に戻れる。
ピンポイントで治療 ：異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
再発防止効果が期待できる ：炎症を抑えることで痛みの再発を予防。

血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な術後の痛みの患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。