腸脛靱帯炎
腸脛靱帯炎とは
腸脛靱帯炎は、膝の外側に痛みを引き起こすランナーやサイクリストに多いスポーツ障害です。腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)は、大腿骨の外側から脛骨にかけて走る靱帯で、膝の屈伸運動の際に骨と擦れることで炎症が起こります。
特に長距離ランナー、サイクリスト、登山者など、膝の曲げ伸ばしを繰り返すスポーツをする人に発症しやすいのが特徴です。
主な症状
膝の外側の痛み
ランニングや自転車を漕ぐ際に痛みを感じる。
進行すると歩行時や階段の昇降でも痛みが出る。
運動後の痛みの悪化
休むと痛みが軽減するが、再び運動すると痛みが戻る。
膝の外側を押すと痛い(圧痛)
特に大腿骨外側上顆の部分を押すと強い痛みがある。
膝のこわばりや違和感
朝起きたときや長時間座った後に膝がこわばる。
膝の外側の腫れや熱感
炎症が強くなると腫れや熱を持つことがある。
主な原因
オーバーユース(使いすぎ)
長距離ランニングやサイクリング、ジャンプの繰り返しによる負荷。
股関節や膝のアライメント異常
O脚やX脚、骨盤の歪みが腸脛靱帯へのストレスを増加させる。
大腿四頭筋・臀部筋の筋力低下
太ももの前側の筋力不足により、膝関節の安定性が低下。
不適切なランニングフォームやシューズ
足に合わない靴、硬い地面でのランニングが負担を増やす。
ウォームアップ不足や柔軟性低下
腸脛靱帯や大腿筋膜張筋のストレッチ不足が炎症を引き起こす。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
腸脛靱帯のストレッチや臀部・股関節周囲の筋力強化を行う。
フォーム改善
走り方や歩き方を見直し、膝への負担を軽減。
装具療法(インソール・膝サポーター)
足のアーチをサポートするインソールや膝の安定性を高めるサポーターを使用。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、腸脛靱帯の一部を切除することもある。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
腸脛靱帯と大腿筋膜張筋のストレッチを行う。
フォームの見直し
走行時の着地方法を見直し、膝に負担をかけないフォームを意識する。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる。
アイシング(急性期)
炎症が強い場合は、冷却して痛みを和らげる。
適切なシューズを選ぶ
衝撃吸収性の高いランニングシューズを使用する。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した腸脛靱帯炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える :痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な腸脛靱帯炎の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。