肘滑膜炎
肘滑膜炎とは
肘滑膜炎は、肘関節を包む滑膜に炎症が生じ、痛みや腫れ、可動域の制限を引き起こす疾患です。滑膜は関節の動きを滑らかにする役割を果たしていますが、炎症が発生すると関節液の過剰な分泌や腫れが起こり、肘の動きに支障をきたすことがあります。
この疾患は、スポーツや長時間の繰り返し動作による負担、関節リウマチなどの自己免疫疾患が原因となることが多く、放置すると関節の変形や機能障害につながることがあります。
主な症状
肘の腫れと熱感
肘関節が腫れ、触ると熱を持っていることがある。
関節の痛み
動かすと痛みを感じ、安静時でも違和感が続くことがある。
可動域の制限
肘の動きが悪くなり、完全に伸ばしたり曲げたりすることが困難になる。
圧痛(押すと痛みを感じる)
肘を押した際に鋭い痛みを感じることがある。
関節のこわばり
朝起きたときや長時間の安静後に肘がこわばることがある。
主な原因
スポーツや繰り返し動作による負担
テニス、野球、ゴルフなどのスポーツや、デスクワークなどでの反復的な動作が影響。
関節リウマチなどの自己免疫疾患
免疫異常により滑膜が炎症を起こすことがある。
加齢による関節の変性
年齢とともに関節のクッション機能が低下し、炎症を起こしやすくなる。
外傷や衝撃
転倒や打撲により、滑膜が損傷し炎症が発生することがある。
細菌感染
関節内に細菌が侵入し、炎症を引き起こすことがある(化膿性滑膜炎)。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
肘の可動域を回復させるため、リハビリを行う。
関節内注射(ステロイド・ヒアルロン酸)
炎症が強い場合、関節内にステロイドやヒアルロン酸を注射し、炎症を抑える。
温熱療法・電気治療
温熱パッドや電気刺激療法を用いて、血流を改善し痛みを軽減。
関節鏡視下手術
重度の場合、関節鏡を用いて滑膜の異常な部分を除去する手術が行われることもある。
自分でできる対処法
安静にする
痛みが強いときは無理に動かさず、関節への負担を軽減する。
アイシング(冷却)
急性期の炎症を抑えるため、氷や冷却パックを使って冷やす。
温める(慢性期)
慢性化した場合は、温熱療法を取り入れ血流を促進。
軽いストレッチ・運動
肘の可動域を維持するために、無理のない範囲でストレッチを行う。
姿勢の改善
長時間同じ姿勢を続けないようにし、適度に肘を動かす。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した肘滑膜炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える :痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで、組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な肘滑膜炎の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。