疲労骨折とは

疲労骨折（ひろうこっせつ）は、繰り返しの負荷によって骨に微細なヒビが入る疾患です。一般的な骨折とは異なり、一度の強い衝撃ではなく、長期間の運動や過剰なストレスの蓄積によって発生するのが特徴です。

特にランナー、バスケットボール、サッカー、ダンス、軍隊訓練などで過度に足を使う人に多く見られ、脛骨（すねの骨）、中足骨（足の甲）、大腿骨、骨盤などの荷重がかかる部位に発生しやすいです。

主な症状

運動時の局所的な痛み

初期段階では運動時に軽い痛みがあるが、休むと軽減する。

進行すると、痛みが強くなり安静時にも持続する。

圧痛（押すと痛む）

疲労骨折が起こった部位を押すと痛みが強くなる。

腫れや軽度の熱感

皮膚の腫れや、炎症による熱感を伴うことがある。

運動パフォーマンスの低下

走る、ジャンプする、長時間歩くことが困難になる。

痛みが悪化すると骨折に進行する可能性

放置すると完全な骨折となり、長期の治療が必要になることもある。

主な原因

オーバーユース（使いすぎ）

過度なランニング、ジャンプ、長時間の歩行など。

筋力不足と柔軟性の低下

筋肉が十分に発達していないと、骨に直接負担がかかる。

骨密度の低下（女性アスリートに多い）

栄養不足、ホルモンバランスの乱れ、無月経が影響する。

不適切なシューズやトレーニング環境

クッション性の低い靴や、硬い路面での運動が負担を増加させる。

急激な運動量の増加

短期間での急激なトレーニング増加が骨への負担を高める。

一般的な治療法

運動制限・安静

初期段階では運動量を制限し、患部に負担をかけないようにする。

薬物療法（鎮痛剤・抗炎症薬）

NSAIDs（非ステロイド性抗炎症薬）を使用し、痛みと炎症を軽減。

装具療法（サポーター・ギプス）

部位によってはギプスや装具を使用し、骨の安定を図る。

理学療法（リハビリ・ストレッチ）

筋力回復や骨の強化のためのリハビリを行う。

栄養療法（カルシウム・ビタミンD摂取）

骨の修復を促進するために、適切な栄養補給を行う。

自分でできる対処法

適度なストレッチと筋力トレーニング

筋肉の柔軟性を高め、骨への負担を減らす。

シューズの選択を見直す

クッション性の高い靴を履き、地面からの衝撃を吸収する。

運動量の調整

急に運動量を増やさず、徐々に負荷を上げる。

食生活の改善（骨密度を高める）

カルシウム・ビタミンD・タンパク質を積極的に摂取。

十分な休息と睡眠

体の回復を促し、骨の修復を助ける。

血管内治療（カテーテル治療）

慢性化した疲労骨折の痛みには、異常な新生血管（モヤモヤ血管）が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療（カテーテル治療）は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。

血管内治療の効果

• 炎症の抑制 ：異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
• 神経の過敏性を抑える ：痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
• 血流の正常化 ：血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
• 長期的な改善が期待できる ：根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。

特徴

• 低侵襲 ：カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
• 即日退院可能 ：治療後すぐに日常生活に戻れる。
• ピンポイントで治療 ：異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
• 再発防止効果が期待できる ：炎症を抑えることで痛みの再発を予防。

血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な疲労骨折の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。