棘突起間靱帯炎
棘突起間靱帯炎とは
棘突起間靱帯炎は、脊椎の棘突起(背骨の突起部分)をつなぐ靱帯に炎症が生じ、慢性的な背部痛や腰痛を引き起こす疾患です。主に長時間の不良姿勢、過度な運動、加齢による靱帯の変性が原因となることが多いです。
この疾患は座りっぱなしや長時間の前かがみ姿勢、スポーツによる負荷で悪化しやすく、放置すると痛みが慢性化する可能性があります。
主な症状
背中や腰の中央部分の痛み
特に長時間座る、立つ、前屈する動作で悪化。
朝起きたときに強く感じることが多い。
動作時の痛みの悪化
体を後ろに反らせる、ひねるなどの動作で痛みが増す。
こわばりや関節の硬さ
朝のこわばりがあり、動き始めに違和感を覚える。
局所的な圧痛
棘突起の間を押すと痛みが増す。
主な原因
長時間の不良姿勢
猫背、反り腰、長時間のデスクワーク。
過度なスポーツや負荷
ウェイトトレーニング、ランニングなどの負担が靱帯に影響。
加齢による靱帯の変性
靱帯が硬くなり、柔軟性が低下。
外傷や繰り返しの微細損傷
転倒や捻挫による影響。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
背中と腰の柔軟性を高めるストレッチを行う。
装具療法(サポーター・コルセット)
腰部を安定させ、負担を軽減。
トリガーポイント注射
痛みのある部位に局所麻酔やステロイドを注射。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、手術を検討。
自分でできる対処法
正しい姿勢を保つ
長時間座る場合はこまめに姿勢を変える。
適度なストレッチと運動
背骨周りの筋肉を鍛えるエクササイズを取り入れる。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進。
アイシング(急性期)
急な痛みが出た場合は炎症を抑えるために冷やす。
適切な寝具を使用する
腰をサポートするマットレスや枕を選ぶ。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した棘突起間靱帯炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制:異常血管を遮断することで炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える:痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化:血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる:根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲:カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能:治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療:異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる:炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な棘突起間靱帯炎の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。