有痛性鍵盤断裂
有痛性腱板断裂
有痛性腱板断裂は、肩関節の腱板(回旋腱板)が部分的または完全に断裂し、痛みや肩の可動域制限を引き起こす疾患です。加齢による変性や外傷が原因で発生することが多く、特に40歳以上の中高年に多く見られます。
腱板は、肩の安定性を保ち、スムーズな動作を支える役割を担っています。しかし、腱板が断裂すると、肩を動かす際に痛みが生じたり、腕を上げることが困難になったりすることがあります。特に夜間痛が強くなることが多く、睡眠の質が低下するケースもあります。
一部の腱板断裂は無症状で経過することもありますが、痛みを伴う場合には早期の診断と適切な治療が必要です。放置すると症状が悪化し、肩の機能が大きく制限される可能性があります。
主な症状
肩の痛み
特に腕を上げる動作で鋭い痛みを感じる。
肩を動かさなくてもズキズキとした痛みが続くことがある。
夜間痛
就寝時に痛みが強まり、寝返りが困難になる。
可動域の制限
腕を上げたり、背中に回したりする動作が難しくなる。
肩の筋力低下
断裂が進行すると、腕に力が入りにくくなる。
肩の引っかかり感や違和感
肩を動かした際に引っかかるような感覚やゴリゴリとした音を感じることがある。
原因
加齢による変性
腱板の組織は加齢とともに弱くなり、断裂しやすくなる。
反復的な肩の使用
スポーツや重労働などで肩を頻繁に使うことで、腱板に過度な負担がかかる。
外傷
転倒や事故で肩を強く打つことで、腱板が急激に損傷することがある。
血流の低下
腱板への血流が減少すると、組織の修復能力が低下し、断裂しやすくなる。
肩関節の構造的な問題
肩峰(肩の骨)が腱板に干渉しやすい構造をしている場合、摩耗しやすくなる。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
炎症を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使用。
理学療法(リハビリ)
肩の可動域を回復させるため、ストレッチや筋力トレーニングを行う。
ステロイド注射
痛みが強い場合、一時的に炎症を抑えるために関節内にステロイドを注射。
PRP療法(自己多血小板血漿療法)
自身の血液から血小板を抽出し、腱板の修復を促進する治療法。
手術(関節鏡視下手術・腱板修復術)
重度の断裂では、関節鏡を用いた腱板修復術が選択される。
自分でできる対処法
肩の安静と適度な運動
痛みが強い時期は無理をせず安静にし、炎症が落ち着いたらリハビリを開始。
アイシング(冷却)
急性期には氷や冷却パックを使って腫れや炎症を抑える。
温熱療法(慢性期)
慢性期には温めることで血流を促進し、回復を促す。
肩甲骨のストレッチ
肩甲骨を動かすストレッチを取り入れ、肩関節の動きをスムーズにする。
姿勢の改善
猫背や巻き肩を改善し、肩への負担を減らす。
血管内治療(カテーテル治療)
有痛性腱板断裂では、炎症により異常な新生血管(モヤモヤ血管)が形成されることがあり、これが痛みを持続させる原因となることがわかっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制:異常血管を遮断することで炎症が収まり、痛みが和らぐ。
- 痛みの軽減:異常血管と神経の相互作用を遮断し、痛みの伝達を抑える。
- 可動域の改善:炎症の軽減により、肩の可動域が回復しやすくなる。
- 長期的な改善が期待できる:根本的な原因にアプローチし、持続的な痛みの軽減が可能。
特徴
- 低侵襲:カテーテルを用いるため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能:短時間の治療で、日常生活に早期復帰が可能。
- ピンポイントで治療:異常血管を特定し、痛みの原因を直接治療。
- 持続的な改善:炎症を抑え、痛みの再発を防ぐ。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった有痛性腱板断裂の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。