有痛性外脛骨
有痛性外脛骨とは
有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)は、足の内側にある外脛骨(副骨)が痛みを引き起こす疾患です。外脛骨は約10~20%の人に存在するとされる余分な骨であり、通常は無症状ですが、スポーツや長時間の立ち仕事、合わない靴の使用によって炎症を起こし、痛みが発生することがあります。
特に成長期の子どもや若年層、女性、偏平足の人に多く発症し、運動時や長時間の歩行で痛みが悪化しやすいのが特徴です。
主な症状
足の内側の痛み
土踏まずのすぐ上、内くるぶしの前あたりに痛みが出る。
進行すると運動時や歩行時に強く痛むようになる。
圧痛(押すと痛む)
外脛骨の部分を押すと強い痛みがある。
腫れや赤み
痛みがある部分に腫れや軽度の赤みが見られる。
運動時の痛みの悪化
ランニングやジャンプ、長時間の歩行で痛みが増す。
靴による圧迫で痛みが出る
硬い靴や合わない靴を履くと、圧迫されて痛みが悪化する。
主な原因
スポーツや運動による過負荷
サッカーやバスケットボールなど、頻繁に走る・ジャンプする動作が原因。
偏平足
土踏まずが低く、後脛骨筋への負担が増えることで外脛骨にストレスがかかる。
合わない靴の使用
硬い靴やサポート不足の靴を履くことで圧迫され、炎症を起こしやすくなる。
成長期の骨の発達
骨が成長する過程で外脛骨が浮き出てきて炎症を起こす。
急激な運動量の増加
普段運動していない人が急にスポーツを始めると発症しやすい。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
ふくらはぎや後脛骨筋のストレッチを行い、筋肉の柔軟性を向上。
装具療法(インソール・アーチサポート)
偏平足を補正し、足底の負担を軽減。
アイシング(急性期)
痛みが強いときは冷却して炎症を抑える。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、外脛骨の部分切除手術を行うことがある。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
後脛骨筋、ふくらはぎ、足底のストレッチを行い、柔軟性を向上。
運動量の調整
痛みがあるときは無理せず、低負荷の運動に切り替える。
適切なシューズの使用
アーチサポートのある靴を選び、足底への負担を軽減。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の回復を促す。
体重管理
適正体重を維持し、外脛骨への負荷を減らす。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した有痛性外脛骨の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制:異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える:痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化:血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる:根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲:カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能:治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療:異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる:炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な有痛性外脛骨の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。