慢性前立腺炎
慢性前立腺炎とは
慢性前立腺炎(まんせいぜんりつせんえん)は、前立腺の慢性的な炎症によって、排尿時の不快感、骨盤の痛み、性機能の低下などを引き起こす疾患です。細菌感染が関与している場合と、非細菌性(炎症性・非炎症性)の場合があります。
特に20~50代の男性に多く発症しやすく、症状が慢性的に続くことが多いため、生活の質(QOL)に大きな影響を与えることがあります。
主な症状
排尿時の不快感や違和感
排尿時に軽い痛みや灼熱感を感じる。
尿の出が悪くなったり、頻尿や尿意切迫感を伴うことがある。
会陰部・下腹部の痛みや圧迫感
前立腺周辺(陰嚢、肛門、下腹部)に鈍痛や不快感がある。
性交時の痛みや違和感
射精時に痛みを感じることがある。
性欲の低下やED(勃起不全)を伴うこともある。
慢性的な倦怠感やストレス
症状が長引くことで、不安やうつ症状を引き起こすことがある。
主な原因
細菌感染(細菌性慢性前立腺炎)
大腸菌やクラミジアなどの細菌が前立腺に感染し、慢性的な炎症を引き起こす。
非細菌性(炎症性・非炎症性)慢性前立腺炎
原因不明だが、ストレスや骨盤周辺の血流障害が関与すると考えられる。
骨盤底筋の過緊張
座り仕事や自転車の乗りすぎで、前立腺周囲の筋肉が緊張し、痛みが発生。
尿の逆流
尿が前立腺の導管に逆流し、炎症を引き起こすことがある。
ストレスや自律神経の乱れ
精神的ストレスが交感神経を過度に刺激し、前立腺の血流や機能に影響を与える。
一般的な治療法
薬物療法
- 抗生物質(細菌性の場合):大腸菌やクラミジアなどの細菌を除去。
- αブロッカー:尿の流れを改善し、前立腺の緊張を和らげる。
- 抗炎症薬(NSAIDs):炎症と痛みを軽減。
- 抗うつ薬・抗不安薬:ストレスの影響を抑え、症状の緩和を助ける。
骨盤底筋リハビリ
骨盤周辺の筋肉をリラックスさせ、痛みや圧迫感を和らげる。
温熱療法(座浴)
ぬるま湯に浸かることで血流を促進し、炎症を抑える。
生活習慣の改善
長時間の座位を避け、適度な運動を行う。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、前立腺の一部を切除する手術が行われることがある。
自分でできる対処法
ストレス管理
瞑想やリラクゼーションを取り入れ、交感神経の過剰な刺激を抑える。
適度な運動
ウォーキングやストレッチを行い、骨盤の血流を改善。
食生活の見直し
カフェイン、アルコール、辛い食べ物などの刺激物を避ける。
水分摂取の調整
過剰な水分摂取を避け、膀胱への負担を軽減。
長時間座らない
長時間のデスクワークや自転車の使用を避ける。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した慢性前立腺炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制:異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える:痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化:血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる:根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲:カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能:治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療:異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる:炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な慢性前立腺炎の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。