後脛骨筋膜炎
後脛骨筋膜炎とは
後脛骨筋膜炎は、後脛骨筋(こうけいこつきん)と呼ばれる筋肉の腱や膜が炎症を起こし、足首の内側や土踏まずに痛みを引き起こす疾患 です。後脛骨筋は、足のアーチを支える重要な役割を果たしており、この部分に過度な負荷がかかると、炎症や痛みが発生します。
特にランナーや長時間の立ち仕事をする人、偏平足の人に多く発症 し、進行すると足のアーチが崩れ、歩行が困難になることもあります。
主な症状
足首の内側の痛み
くるぶしの下や土踏まず付近に痛みが生じる。
初期段階では運動後に痛みを感じるが、進行すると安静時にも痛みが出る。
腱や筋膜の圧痛(押すと痛む)
くるぶしの内側から土踏まずにかけて押すと痛みがある。
運動時の痛みの悪化
走る・歩く・階段の昇降で痛みが悪化。
足のアーチの崩れ(扁平足の進行)
足のアーチが低下し、土踏まずが平らになる。
足首のこわばりや違和感
朝や長時間の休憩後に足首周りが硬く感じる。
主な原因
オーバーユース(使いすぎ)
長時間のランニングや歩行、ジャンプ動作の繰り返し。
偏平足やアーチの低下
土踏まずが低下することで、後脛骨筋に過剰な負担がかかる。
不適切なシューズの使用
サポート不足の靴やクッション性のない靴が影響を与える。
筋力不足やストレッチ不足
ふくらはぎや足首の筋力が低下し、後脛骨筋の負担が増加。
硬い地面での運動
コンクリートやアスファルトでの長時間の活動が負担を増加させる。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
後脛骨筋やふくらはぎのストレッチを行い、筋肉の柔軟性を向上。
装具療法(インソール・アーチサポート)
偏平足を補正し、足底の負担を軽減。
アイシング(急性期)
痛みが強いときは冷却して炎症を抑える。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、腱の修復手術を行うことがある。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
後脛骨筋、ふくらはぎ、足底のストレッチを行い、柔軟性を向上。
運動量の調整
痛みがあるときは無理せず、低負荷の運動に切り替える。
適切なシューズの使用
アーチサポートのある靴を選び、足底への負担を軽減。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の回復を促す。
体重管理
適正体重を維持し、後脛骨筋への負荷を減らす。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した後脛骨筋膜炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因 となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 神経の過敏性を抑える :痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な後脛骨筋膜炎の患者にとって、新たな選択肢 となる治療法です。