変形性股関節症
変形性股関節症とは
変形性股関節症は、股関節の軟骨が摩耗し、関節の変形や炎症が進行することで痛みや可動域の制限を引き起こす疾患です。加齢や過度な負荷、先天性の股関節の形態異常(発育性股関節形成不全)などが原因となることが多く、中高年の女性に多く見られます。
進行すると歩行や日常動作に影響を及ぼし、重度の場合は人工股関節置換術(THA)が必要になることもあります。
主な症状
股関節の痛み
初期は立ち上がりや歩き始めに痛みが出る。
進行すると安静時や夜間にも痛みが持続する。
可動域の制限
股関節を開く、曲げる動作がしにくくなる。
和式トイレや正座が困難になることがある。
歩行障害
症状が進行すると、歩行時に痛みが増す。
片足を引きずるような歩行(跛行)が見られる。
股関節周囲のこわばりや違和感
朝起きたときや長時間座った後に股関節がこわばる。
筋力の低下
股関節を動かす筋肉(大腿四頭筋や臀部の筋肉)が衰え、さらに症状が悪化する。
主な原因
加齢による軟骨の摩耗
年齢とともに関節の軟骨がすり減り、炎症が生じる。
発育性股関節形成不全
生まれつき股関節の形態が不安定で、変形しやすい。
過度な負荷や体重増加
過剰な体重が股関節への負担を増加させる。
スポーツや労働による関節への負担
長年にわたり股関節に強い負担がかかると変形が進む。
遺伝的要因
家族に変形性股関節症の人がいる場合、発症リスクが高まる。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
股関節周囲の筋力を強化し、関節の安定性を向上させる。
装具療法(杖・サポーター)
股関節への負担を軽減するため、杖やサポーターを使用。
関節注射(ヒアルロン酸・ステロイド)
ヒアルロン酸注射で軟骨の保護、ステロイド注射で炎症を抑える。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、人工股関節置換術(THA)を行うことがある。
自分でできる対処法
股関節に負担をかけない姿勢を意識する
立ち方や座り方を見直し、股関節に均等に体重をかける。
適度なストレッチと運動
股関節周囲の柔軟性を高めるストレッチや水中運動を行う。
体重管理を行う
適正体重を維持し、股関節への負担を軽減する。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる。
適切な寝具や靴を選ぶ
股関節の負担を軽減する靴やクッション性の高い寝具を使用。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化した変形性股関節症の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日帰宅可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な変形性股関節症の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。術前にはMRI検査が必要なことがあります。