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乳房切除後疼痛症候群

乳房切除後疼痛症候群とは

乳房切除後疼痛症候群(Post-Mastectomy Pain Syndrome, PMPS)は、乳がんの手術(乳房切除や乳房部分切除)後に持続する慢性的な痛みを指します。一般的に、手術後3か月以上続く痛みがPMPSと診断されます。

手術後に発生する痛みには、創傷の回復に伴う一時的な痛みと、長期間持続する慢性疼痛があります。PMPSは主に神経の損傷や炎症が関与していると考えられ、適切な治療を行わないと痛みが慢性化し、生活の質(QOL)が低下する可能性があります。

主な症状

持続的な胸や脇の痛み

乳房手術後に、胸部や脇の下に痛みが残る。

しびれや焼けるような痛みを伴うことがある。

腕や肩の違和感や痛み

手術側の腕や肩にしびれや重さを感じることがある。

手術部位周辺の感覚異常

触ると違和感があったり、感覚が鈍くなったりする。

リンパ浮腫との関連

リンパ節切除後に、腕がむくみやすくなることがある。

日常生活への影響

服を着替える、腕を上げるなどの動作が困難になる。

主な原因

手術による神経損傷

乳房切除時に小さな神経が切断され、慢性的な痛みが発生する。

手術後の炎症や瘢痕形成

組織の回復過程で、炎症や瘢痕が神経を圧迫し痛みを引き起こす。

リンパ節郭清の影響

腋窩リンパ節の切除が行われると、神経への影響が大きくなることがある。

筋肉や筋膜の緊張

手術後の姿勢の変化や運動不足により、筋肉の緊張が痛みを引き起こす。

心理的要因(ストレス・不安)

手術後の不安やストレスが痛みを増強させることがある。

一般的な治療法

薬物療法(鎮痛剤・神経障害性疼痛治療薬)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やリリカ(プレガバリン)などの神経障害性疼痛治療薬を使用。

神経ブロック療法

硬膜外ブロックや肋間神経ブロックを行い、痛みの伝達を遮断。

理学療法(ストレッチ・リハビリ)

肩や腕の可動域を改善するためにリハビリを実施。

温熱療法・電気治療

血流を促進し、神経の過敏性を抑える。

心理療法(認知行動療法など)

痛みへの不安を軽減するための心理的サポート。

自分でできる対処法

ストレッチや軽い運動を継続

無理のない範囲で肩や腕の可動域を広げる運動を行う。

痛みが強いときは休息をとる

無理をせず、痛みがある場合は適度に休む。

温める(慢性期)

温熱パッドや入浴で体を温め、筋肉の緊張を和らげる。

リンパ浮腫を予防する

腕のむくみを防ぐため、適度なマッサージや圧迫療法を取り入れる。

ストレスを減らす

リラックスする時間を作り、痛みの悪化を防ぐ。

血管内治療(カテーテル治療)

乳房切除後疼痛症候群の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が形成されることが関与していることがあり、これが痛みの持続原因となることがあります。血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。

血管内治療の効果

  • 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
  • 神経の過敏性を抑える :痛みを伝達する神経との相互作用を遮断し、慢性的な痛みを和らげる。
  • 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
  • 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。

特徴

  • 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
  • 即日帰宅可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
  • ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
  • 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。

血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的な乳房切除後疼痛症候群の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。

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