ハムストリング付着炎
ハムストリング付着炎
ハムストリング付着部炎は、太ももの裏側にあるハムストリング(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)の腱が骨盤に付着する部分で炎症を起こし、痛みを引き起こす疾患です。
特にランニングやジャンプ動作の多いスポーツ選手に多く発症します。
この疾患は長時間の座位や運動時に痛みが悪化しやすいのが特徴で、適切なケアを行わないと慢性化する可能性があります。
主な症状
臀部や太ももの痛み
座ったときにお尻の深部が痛む。
太ももの裏側に鈍い痛みや違和感を感じる。
運動時の痛み
ランニング、ダッシュ、ジャンプの際に痛みが強くなる。
片足立ちやストレッチ時に痛みが悪化。
動作時のこわばりや可動域制限
朝起きたときや長時間の座位後にこわばりを感じる。
股関節を曲げる動作(前屈)が制限される。
筋力低下
痛みのためにハムストリングの筋力が低下し、運動パフォーマンスが落ちる。
主な原因
過度な負荷や反復動作
長距離ランニングやキック動作の繰り返し。
柔軟性の低下
筋肉が硬くなることで付着部に過度なストレスがかかる。
ウォームアップやクールダウン不足
十分な準備運動を行わずに激しい運動をすることで発症リスクが高まる。
骨盤の歪みや姿勢の問題
骨盤のアライメント異常が付着部への負担を増加させる。
過去の筋肉損傷
ハムストリングの過去の肉離れや損傷が原因となることがある。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
ハムストリングの柔軟性を高めるストレッチを行う。
体幹や股関節周囲の筋力強化を図る。
装具療法(サポーター・テーピング)
股関節やハムストリングの負担を軽減。
神経ブロック注射
痛みが強い場合、局所麻酔やステロイドを用いて炎症を抑える。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、腱の修復手術を行うことがある。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
ハムストリングのストレッチを継続的に行う。
姿勢と動作の改善
骨盤の歪みを調整し、運動フォームを見直す。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる。
アイシング(急性期)
炎症が強い場合は、冷却して痛みを和らげる。
適切なウォームアップとクールダウン
運動前後に十分な準備運動を行い、筋肉を保護する。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化したハムストリング付着部炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。
血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的なハムストリング付着部炎の患者にとって、新たな選択肢 となる治療法です。