タナ障害
タナ障害とは
タナ障害は、膝関節の内側に存在する滑膜ヒダ(タナ:plica)が炎症を起こし、膝の痛みや引っかかり感を引き起こす疾患です。
滑膜ヒダは本来、胎児期に膝関節を形成する際に消失するはずの組織ですが、一部が残存することがあります。
この疾患は、スポーツ選手や膝を酷使する人に多く発症し、特にランニングやスクワット動作で痛みが悪化しやすいのが特徴です。
主な症状
膝の内側の痛み
運動時や膝の屈伸運動で痛みが発生。
特に膝を深く曲げたときに痛みを感じる。
膝の引っかかり感
膝を動かすときに「カクン」と引っかかる感じがする。
膝の腫れや熱感
滑膜ヒダが炎症を起こし、腫れることがある。
膝の可動域の制限
症状が進行すると膝の動きが制限されることがある。
長時間の座位後の違和感
デスクワークや映画鑑賞後に膝を動かしづらくなる。
主な原因
オーバーユース(使いすぎ)
ランニング、スクワット、階段の昇降などの繰り返し動作。
滑膜ヒダの肥厚や炎症
繰り返しの摩擦により滑膜ヒダが厚くなり、炎症が発生。
膝のアライメント異常
O脚やX脚、関節の不安定性が影響を与える。
過去の膝の外傷や手術の影響
膝の打撲や関節鏡手術後に発症することがある。
筋力不足や柔軟性低下
大腿四頭筋やハムストリングの筋力バランスが崩れることで膝への負担が増える。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
大腿四頭筋の強化やストレッチを行い、膝の安定性を向上させる。
装具療法(サポーター・テーピング)
膝の負担を軽減し、関節の動きをサポート。
関節注射(ヒアルロン酸・ステロイド)
ヒアルロン酸注射で関節の潤滑を向上させ、ステロイド注射で炎症を抑える。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、関節鏡手術で滑膜ヒダを切除。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
大腿四頭筋、ハムストリング、股関節周囲のストレッチを継続的に行う。
運動量の調整
痛みがあるときはスクワットやジャンプを控え、低負荷のトレーニングを行う。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる。
アイシング(急性期)
炎症が強い場合は、冷却して痛みを和らげる。
適切なシューズの使用
クッション性の高い靴を選び、膝への負担を軽減する。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化したタナ障害の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。
血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日退院可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的なタナ障害の患者にとって、新たな選択肢 となる治療法です。