グロインペイン
グロインペイン
グロインペイン症候群(Groin Pain Syndrome)は、鼠径部(そけいぶ)周辺に慢性的な痛みが生じるスポーツ障害の一種です。
特にサッカーやラグビー、陸上競技など、激しい方向転換やキック動作を伴うスポーツ選手に多く発症します。
鼠径部の筋肉や腱、靱帯にストレスが蓄積することで炎症が生じ、痛みが慢性化することが特徴です。
主な症状
鼠径部の慢性的な痛み
片側または両側に鈍い痛みが続く。
運動時に痛みが悪化する。
キック動作やダッシュで痛みが増す
特にボールを蹴る動作や方向転換時に痛みを感じる。
歩行時の違和感や痛み
症状が進行すると、日常生活の動作でも痛みが出ることがある。
筋力低下や柔軟性の低下
痛みをかばうことで、鼠径部周辺の筋肉が硬くなりやすい。
股関節の可動域制限
股関節を開く、閉じる動作がしにくくなる。
主な原因
鼠径部への過度なストレス
繰り返しのキックやダッシュ、急激な方向転換。
股関節周囲の筋力バランスの崩れ
内転筋や腹直筋、腸腰筋のバランスが悪くなることで負担が集中。
柔軟性の低下
筋肉や腱の柔軟性が低下し、負担がかかりやすくなる。
不適切なウォームアップやクールダウン
運動前後のケア不足が原因で炎症が起こりやすくなる。
股関節や骨盤のアライメント異常
姿勢や歩き方の癖が鼠径部に負担をかけることがある。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDsを使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
股関節の可動域を広げるストレッチを行う。
筋力バランスを整えるエクササイズを実施。
装具療法(テーピング・サポーター)
股関節や鼠径部の安定性をサポートし、負担を軽減。
神経ブロック注射
痛みが強い場合、ステロイドや局所麻酔薬を使用。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、損傷した腱や靱帯の修復手術を行うことがある。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
内転筋、腸腰筋、腹直筋を重点的にほぐすストレッチを行う。
姿勢と動作の見直し
走り方やキック動作のフォームを改善する。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる。
アイシング(急性期)
炎症が強い場合は、冷却して痛みを和らげる。
適切なウォームアップとクールダウン
運動前後に十分な準備運動を行い、筋肉を守る。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化したグロインペイン症候群の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。
血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日帰宅可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的なグロインペイン症候群の患者にとって、新たな選択肢となる治療法です。