アキレス腱炎
アキレス腱炎とは
アキレス腱炎は、足首の後ろにあるアキレス腱が炎症を起こし、痛みや腫れを引き起こす疾患です。
アキレス腱はふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)と踵(かかと)の骨をつなぐ強靱な腱であり、ランニング、ジャンプ、急なダッシュやストップなどの動作による過度な負荷が原因で炎症が生じます。
特にランナーやバスケットボール、サッカー、テニスなどのスポーツを行う人に多く発症し、加齢に伴い腱の柔軟性が低下するとさらにリスクが高まります。
主な症状
アキレス腱の痛み
かかと近くのアキレス腱に痛みが生じる。
運動後や朝起きた直後に痛みが強くなる。
圧痛(押すと痛む)
アキレス腱の中央部やかかとに近い部分を押すと痛みがある。
腫れや熱感
アキレス腱周囲が腫れて、熱を持つことがある。
歩行やランニング時の違和感
つま先立ちや歩行時に痛みが増す。
腱のこわばりや柔軟性の低下
朝起きたときや長時間の休憩後にアキレス腱が硬く感じる。
主な原因
オーバーユース(使いすぎ)
ランニング、ジャンプ、急なダッシュやストップの繰り返し。
アキレス腱の柔軟性低下
加齢やストレッチ不足によって腱が硬くなり、負担が増加。
不適切なシューズや路面での運動
クッション性の低い靴や硬い路面での激しい運動が影響を与える。
足のアライメント異常(偏平足・ハイアーチ)
足の形状による不適切な荷重がアキレス腱への負担を増やす。
筋力不足やウォームアップ不足
ふくらはぎの筋力低下や準備運動不足が原因で腱に負荷がかかる。
一般的な治療法
薬物療法(鎮痛剤・抗炎症薬)
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)を使用し、炎症と痛みを軽減。
理学療法(ストレッチ・リハビリ)
ふくらはぎのストレッチやアキレス腱の強化トレーニングを行う。
装具療法(インソール・アキレス腱サポーター)
足のアライメントを補正し、腱への負担を軽減。
アイシング(急性期)
運動後や痛みが強いときは冷却して炎症を抑える。
手術(重度の場合)
保存療法で改善しない場合、損傷した腱の修復手術を行うことがある。
自分でできる対処法
適度なストレッチと運動
ふくらはぎのストレッチを行い、アキレス腱の柔軟性を高める。
運動量の調整
痛みがあるときは無理せず、低負荷の運動に切り替える。
温熱療法を活用する
温湿布や入浴で血流を促進し、腱の回復を促す。
適切なシューズの使用
クッション性のある靴を選び、衝撃を軽減。
足のアライメント改善
偏平足やハイアーチの人は、インソールを使用して負担を分散させる。
血管内治療(カテーテル治療)
慢性化したアキレス腱炎の痛みには、異常な新生血管(モヤモヤ血管)が関与していることがあり、これが痛みを持続させる原因となっています。
血管内治療(カテーテル治療)は、これらの異常血管を閉塞し、痛みを軽減する最新の治療法です。
血管内治療の効果
- 炎症の抑制 :異常血管を遮断することで、炎症が収まり痛みが軽減する。
- 血流の正常化 :血流が適正に保たれることで組織の修復が促進される。
- 長期的な改善が期待できる :根本的な原因にアプローチすることで、持続的な症状の改善が可能。
特徴
- 低侵襲 :カテーテルを使用するため、体への負担が少ない。
- 即日帰宅可能 :治療後すぐに日常生活に戻れる。
- ピンポイントで治療 :異常血管を特定し、局所的に治療を行う。
- 再発防止効果が期待できる :炎症を抑えることで痛みの再発を予防。
血管内治療は、従来の治療法で改善が見られなかった慢性的なアキレス腱炎の患者にとって、新たな選択肢 となる治療法です。軽症の場合は動注治療も選択肢となります。