ハムストリング付着部炎
ハムストリング付着部炎
近位ハムストリング腱障害・坐骨の痛み・お尻の付け根の痛み
椅子から立ち上がろうとした瞬間、お尻の奥がズキッと痛む。ランニングでペースを上げようとすると、坐骨の付け根にピキッと鋭い感覚が走る——それはハムストリング付着部炎(近位ハムストリング腱障害)が慢性化しているサインかもしれません。
当院では、長引く痛みの原因「モヤモヤ血管(異常血管)」を根本から減らす血管内治療を行っています。湿布やリハビリなどで改善しなかった難治例はもちろん、スポーツ復帰を急ぐアスリートの早期回復にも対応しています。
- ハムストリング付着部炎は「座るだけで悪化する」難治性エンテソパチー:3ヶ月以上続く座位痛・走行痛は、付着部に慢性炎症が定着しているサインです。
- 「治らない痛み」の正体はモヤモヤ血管:慢性炎症で増殖した異常血管が神経と一緒に生え、痛みの発生源になっています。MRI正常でもエコーで確認できます。
- 当院の治療はカテーテル治療(TAME):坐骨深部の異常血管に血管内から直接アプローチ。難治例から早期スポーツ復帰希望まで対応します。
- 難治性の近位ハムストリング腱障害46例へのTAE研究:疼痛(NRS)が治療前の中央値約7.5から改善し、機能スコア(VISA-H)も向上。当院院長・坂井も共同研究者として参加しています。
- 局所麻酔・日帰り・ステロイド不使用:翌日から通常生活に復帰可能です。
① ハムストリング付着部炎とは
ハムストリング付着部炎(近位ハムストリング腱障害)とは、太もも裏の筋肉(大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋)がお尻の骨「坐骨結節」に付着する部分で慢性炎症が続いている状態です。医学的には「エンテソパチー(腱付着部障害)」の一種で、スポーツ選手や長時間座位が多いデスクワーカーに多く見られます。
坐骨の中で何が起きているか
坐骨結節は椅子に座ると座面に直接当たる骨の突起です。「座る」「走る」「前屈する」という動作のたびに付着部に負荷が集中します。
炎症が3ヶ月以上続くと修復のために「モヤモヤ血管(異常血管)」が増殖します。この血管は神経と一緒に生えるため、増えるほど痛み信号が強くなります。安静にしても治らないのはそのためです。
従来の治療は「外側から」患部を刺激します。カテーテル治療(TAME)は「血管の内側から」直接、モヤモヤ血管を減らすことができます。これが長年の難治例でも効果が出る理由です。
② 症状・セルフチェック
ハムストリング付着部炎の症状は「坐骨結節(お尻の骨)周囲の痛み」が中心ですが、慢性化すると多様な形で現れます。「ランニングは大丈夫でも椅子が辛い」「逆に歩くと痛い」など、動作パターンによって変わるのが特徴です。
椅子や硬い面に座ると坐骨の付け根がズキズキと痛む。長時間のデスクワーク・車の運転・飛行機での移動が特に辛い。柔らかいクッションを持ち歩くようになる。
ランニングでペースを上げた瞬間、坐骨付け根にピキッとした痛みが走る。ジョギング程度は大丈夫でも、ダッシュや上り坂で悪化する。スポーツ復帰の壁になっている。
坐骨の痛みが太もも裏全体に広がる、または引っ張られるような感覚。坐骨神経痛との区別が難しく、下肢への放散痛を伴うこともある。
ストレッチで前屈するとお尻の奥がピンと引っ張られる感覚。ヨガ・ピラティス・ハムストリングストレッチが痛くてできなくなる。
慢性化すると、座っていなくても坐骨周囲がじんじんと鈍く痛む。就寝時に患側を下にして横向きになれない。睡眠の質が落ちる。
階段を上るとき、または立ち上がった直後に最も痛みが強い。「最初の数歩だけ痛くて、歩き出すと少し楽になる」というパターンも。
3つ以上当てはまる場合は受診をご検討ください
- 椅子に長時間座っていると坐骨・お尻の付け根が痛む
- ランニングでペースを上げると太もも裏の付け根に痛みが走る
- ハムストリングのストレッチが以前より痛くてできない
- 湿布・ロキソニン・ストレッチを繰り返しても3か月以上改善しない
- MRI・エコーで「腱の変性」を指摘されたが治療が続いている
- 坐骨神経痛と言われたが、しびれよりも付け根の痛みのほうが強い
- 競技復帰を目指しているがいつも途中で悪化する
- 座るとき無意識に重心を反対側のお尻に逃がすようになった
- 下肢の著明なしびれ・脱力:足先が動かない、感覚がなくなるなど(坐骨神経圧迫・椎間板ヘルニアの可能性)
- 排尿・排便障害:会陰部のしびれを伴う場合は馬尾神経症候群の除外が必要
- 臀部・大腿の急激な腫脹・打撲後の激痛:ハムストリング完全断裂の疑い(外科的対応が必要)
③ なぜ痛みが起きるのか(原因)
ハムストリング付着部炎は「腱に繰り返しストレスがかかる」「完全に休めない」という2つの条件が重なるときに慢性化します。坐骨結節はほぼ24時間「座る」という荷重を受け続けるため、付着部の炎症が修復される前に再び刺激されるサイクルが続きます。
腱付着部の炎症が3ヶ月以上続くと、組織修復のため異常な微細血管(モヤモヤ血管)が増殖します。この血管は神経と一緒に腱内部に侵入するため、血管が増えるほど痛みの感度が上がります。超音波(エコー)ドプラ検査で血流信号を確認することで、慢性炎症の程度が可視化できます。
④ 放置するとどうなるか
「そのうち治るだろう」と放置すると、腱の変性が進んで治りにくい状態になります。特にスポーツ選手は「痛みをこらえて練習を続ける」ことで慢性化を加速させるケースが多く見られます。
腱付着部へのステロイド注射は一時的に炎症を抑えますが、繰り返し使用すると腱の変性・脆弱化が進む可能性があります。「注射で楽になる→また痛くなる→また注射」のサイクルが続いている場合は、根本原因(モヤモヤ血管)へのアプローチを検討してください。
⑤ 検査・診断
坐骨の痛みの原因が「腱付着部炎なのか」「坐骨神経なのか」「骨折や腫瘍なのか」を見極めることが正確な治療への第一歩です。当院では特にエコー検査でモヤモヤ血管の有無を確認します。
⑥ 似た病気との見分け方
「坐骨・お尻の付け根の痛み」は複数の疾患で起こります。治療法が異なるため、原因の特定が重要です。
⑦ 治療法
ハムストリング付着部炎の治療は、まず保存療法から始まります。ただし3ヶ月以上続く慢性例・スポーツ早期復帰を希望する例・モヤモヤ血管が確認された例には、血管内治療が有効な選択肢となります。
なぜ保存療法だけでは治らない場合があるのか
湿布・ストレッチ・注射はいずれも「付着部の外側または周囲」にアプローチします。慢性化した痛みの発生源である腱内部のモヤモヤ血管には届かないため、一時的に楽になっても繰り返すのは構造上避けられません。
カテーテル治療(TAME)
(経動脈的微細血管塞栓術)
| 方法 | マイクロカテーテルで坐骨結節深部の異常血管に直接到達し、一時的塞栓物質でモヤモヤ血管を物理的に減少させる |
|---|---|
| 所要時間 | 約40分。当日帰宅可能 |
| 回数の目安 | 基本1〜2回で完結することが多い |
| 麻酔・入院 | 局所麻酔・入院不要 |
| 適応 | 難治性の長期症例・アスリートの早期復帰希望・深部に病変がある例 |
カテーテル治療(TAME)は福岡ペインケアクリニック(福岡市博多区中洲)とながさきハートクリニック(長崎市)の両院で対応しています。まずはLINEでご相談ください。
コペンハーゲン大学(Rigshospitalet)とオクノクリニックの共同研究グループ(Hindsø L, Lönn L, Taudorf M, Kaltoft NS, Hölmich P, Sakai N, Okuno Y)による、保存療法抵抗性の近位ハムストリング腱障害46例に対する経動脈的塞栓術(TAE)の後ろ向きコホート研究です。当院院長・坂井が共同研究者として参加しています。患者背景は男性28例/女性18例、年齢中央値43歳(18〜70歳)、治療前の疼痛期間は中央値12ヶ月と、いずれも慢性・難治例が対象でした。
※ 患者による治療効果の自己評価は、Very good 23%・Good 27%・Satisfying 40%・Sufficient 7%・Insufficient 3%でした(「Satisfying」以上が90%)。
※ 上記は本研究(近位ハムストリング腱障害に対するTAE、n=46)の学会発表データに基づく中央値です。グラフの数値は発表図から読み取った概数を含みます。治療効果には個人差があり、全ての方に同様の効果を保証するものではありません。
長期難治例・アスリート早期復帰希望
※ エコー評価の結果と症状に応じて、医師が最適な治療を提案します。強制はありません。
カテーテル治療(TAME)は自由診療(保険適用外)です。確定申告における医療費控除の対象となる場合がありますので、領収書は大切に保管してください。日帰り手術として民間生命保険の給付対象となることがあります。ご加入の保険会社にご確認ください。
- 急性のハムストリング完全断裂(外科的修復が優先)
- 感染症・悪性腫瘍の転移が疑われる場合
- 重篤な腎機能障害・造影剤アレルギーがある場合(カテーテル治療)
- 妊娠中の方
⑧ 一般整形外科との違い
整形外科はハムストリング付着部炎の診断・保存療法を得意とします。一方で、慢性化したモヤモヤ血管への血管内アプローチは専門性が求められる分野です。
「整形外科でMRI正常と言われたが座ると痛い」「ステロイド注射を繰り返しているが再発する」「競技に戻りたいがハムストリングの痛みが取れない」——そのような方がカテーテル治療(TAME)の最も適した対象です。
「本当にモヤモヤ血管があるのか」「自分は治療の対象なのか」——まずエコーで確認するだけでも、次の一手が変わります。LINEでお気軽にご相談ください。
⑨ よくあるご質問(FAQ)
患者さんから多く寄せられる質問にお答えします。
太もも裏の筋肉(ハムストリング)がお尻の骨「坐骨結節」に付着する部分で慢性炎症が続いている状態です。英語では「Proximal Hamstring Tendinopathy(PHT)」とも呼ばれます。ランナーやデスクワーカーに多く、座位での痛み・走行時の坐骨付け根の痛みが特徴的な症状です。
坐骨神経痛は「坐骨神経が圧迫されることで起こる放散痛・しびれ」で、腰から足先にかけてビリビリとした症状が出ます。ハムストリング付着部炎は「坐骨結節という骨の付け根の腱・付着部の炎症」が主体で、足先へのしびれは少なく、坐骨の骨のすぐ周囲が痛みの中心です。エコー検査とMRIで鑑別できます。
慢性化したハムストリング付着部炎では、腱の内部に「モヤモヤ血管(異常増殖した微細血管)」が生えています。ストレッチは付着部にさらなるストレスをかけることもあり、湿布は外側から炎症を抑えるに過ぎません。腱内部の異常血管には外からのケアが届かないため、「一時的に楽になっても繰り返す」のは構造上避けられません。
TAME(経動脈的微細血管塞栓術)は、手首または鼠径部の動脈からマイクロカテーテルを挿入し、X線透視下で坐骨結節周囲の異常血管(モヤモヤ血管)に直接到達して塞栓する治療です。処置時間は約40〜60分で、局所麻酔・日帰りで行えます。ステロイドを使用しないため腱断裂リスクがなく、長期難治例やスポーツ早期復帰を希望する方に特に適しています。
カテーテル治療(TAME)は通常1〜2回で完結します。1回の治療で大幅に改善する方が多いですが、症状や罹患期間によっては追加治療を検討します。エコーで経過を確認しながら、医師が最適なプランをご提案します。
カテーテル治療後は安静期間(数時間〜翌日)が必要ですが、軽いウォーキングは翌日から可能です。激しいダッシュや競技練習は2〜4週間後からを目安にし、治療への反応を確認しながら通常1〜3ヶ月での段階的な競技復帰を目指します。
カテーテル治療(TAME)は自費診療です。片側363,000円・両側440,000円(税込)です。確定申告の際に医療費控除の対象となる場合があります。また日帰り手術として民間生命保険の給付対象となることがあります。詳しくは診察時にご確認ください。
はい、可能です。MRIやレントゲンは骨・腱の形を調べる検査です。「異常なし=原因不明」ではなく、腱内部の微細血管(モヤモヤ血管)の増殖は一般的な画像検査では映りません。超音波エコー検査でカラードプラを使うことで初めて可視化できます。「MRI異常なし」でも当院でモヤモヤ血管を確認して治療に至った例は多くあります。
はい、可能です。ステロイド注射の既往があってもカテーテル治療(TAME)に影響はありません。ただし繰り返しのステロイド注射で腱の変性が進んでいる場合は、エコーで腱の状態を詳しく確認した上で治療方針を決めます。
カテーテル治療(TAME)は福岡ペインケアクリニック(福岡市博多区中洲)とながさきハートクリニック(長崎市)の両院で対応しています。まずはLINEでご相談いただければ、最適な受診先をご案内します。
カテーテル治療(TAME)では造影剤を使用するため、重篤なアレルギー歴がある方は慎重な判断が必要です。ただし以前に軽度のアレルギー反応があった場合は、前投薬を行うことで対応できる場合があります。まずはLINEまたは初診にてご相談ください。
はい、あります。罹患期間が長くても、痛みの原因が「モヤモヤ血管と神経の増殖」にある限り治療効果は期待できます。「もう諦めていた」という方が改善を得たケースも多くあります。まずエコーで現状を確認することから始めましょう。
⑩ まとめ
- ハムストリング付着部炎は「腱付着部の慢性炎症」——坐骨結節に付く腱が繰り返しストレスを受け、モヤモヤ血管が増殖した状態です。
- 座るだけで悪化する「難治性エンテソパチー」——長時間座位という日常動作が患部を刺激し続けるため、自然治癒しにくい特徴があります。
- ストレッチ・湿布・ステロイドでは届かない発生源——腱内部のモヤモヤ血管には外からのケアが届きません。根本にアプローチする治療が必要です。
- 当院ではカテーテル治療(TAME)を提供——ステロイド不使用・日帰り・局所麻酔。翌日から通常生活に戻れます。
- 難治性の近位ハムストリング腱障害46例のTAE研究に当院院長が参加——疼痛・機能スコアの改善が報告され、活動再開までの期間も示されています(本文参照)。
- スポーツ選手の早期復帰にも対応——競技をなかなか再開できない方の早期復帰をサポートします。
- 福岡ペインケアクリニック・ながさきハートクリニックで受診可能——まずはLINEでお気軽にご相談ください。
「ストレッチも安静も注射も繰り返したけど、坐骨が痛くて座れない」——そのサイクルから抜け出すために、カテーテル治療(TAME)は日帰り・ステロイド不使用で、モヤモヤ血管の発生源に血管の内側から直接アプローチします。
翌日から仕事復帰可能。デスクワーク・ランナー・競技者など幅広い方が来院されています。
日本専門医機構認定内科専門医 / 日本医師会認定スポーツ健康医
循環器内科医としての血管治療技術を応用した「痛みの血管内治療」を専門とし、2,500例以上の血管内治療を経験。ハムストリング付着部炎(近位ハムストリング腱障害)を含む難治性疼痛に対して地元九州で動注治療・カテーテル治療を行っている。
- Hindsø L, Lönn L, Taudorf M, Kaltoft NS, Hölmich P, Sakai N, Okuno Y. Transarterial Embolization in Proximal Hamstring Tendinopathy: A Retrospective Cohort Study.(近位ハムストリング腱障害に対する経動脈的塞栓術の後ろ向きコホート研究・n=46/当院院長 坂井伸彰 共同研究)
- Okuno Y, Matsumura N, Oguro S. Transcatheter arterial embolization using imipenem/cilastatin sodium for tendinopathy and enthesopathy refractory to nonsurgical management. J Vasc Interv Radiol. 2013;24(6):787-792.
- Okuno Y, et al. Transarterial embolization for refractory overuse sports injury: pictorial case reports. Cardiovasc Intervent Radiol. 2023;46(11):1525-1537.
- Hindsø L, Riis RGC, Hölmich P, et al. Current Status of Trans-Arterial Embolization in Pain Management of Musculoskeletal Inflammatory Conditions—An Evidence-Based Review. Cardiovasc Intervent Radiol. 2021;44:1699-1708.
- Sussman WI, et al. Proximal Hamstring Tendinopathy: A Review of the Current Concepts. J Am Acad Orthop Surg. 2020;28(16):667-676.
- Beatty NR, et al. Proximal Hamstring Tendinopathy. HSS J. 2017;13(2):194-198.
- Rompe JD, et al. Extracorporeal Shock Wave Therapy for Chronic Proximal Hamstring Tendinopathy. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2008;16(3):269-275.
- 奥野祐次 著『長引く痛みの原因は、血管にあった』ワニブックス, 2016.
九州ペインケアネットワーク
Kyushu PainCare Network
福岡ペインケアクリニックと、ながさきハートクリニックは、 モヤモヤ血管治療が受けられるクリニックで、同水準の治療とサポート体制を提供しています。


