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ブシャール結節

ブシャール結節(指の第二関節の痛み・腫れ)を改善するために

この記事の要点

ブシャール結節は、指の第二関節(PIP関節)の軟骨がすり減り、痛みや腫れ、進行すると骨の変形(結節)が生じる疾患です。

40代以降の女性に多く見られ、家事や仕事で手を使うたびに痛むため、日常生活に大きな支障をきたします。「関節リウマチ」と症状が似ているため、正確な鑑別診断が重要です。
一般的なテーピングや痛み止めで改善しない長引く痛みには、痛みの原因となる異常血管を減らす動注治療という新しい選択肢もあります。

セルフチェック

以下の項目に当てはまるものが多い場合、ブシャール結節の可能性があります。

✔ 指の「第二関節」が痛む、または赤く腫れている

✔ ペットボトルのフタを開ける時や、雑巾を絞る時に指が痛い

✔ 朝起きた直後、指がこわばって動かしにくい(数分〜数十分で良くなる)

✔ 指の第二関節が少し太くなってきた、曲がってきた気がする

✔ 痛みに波があり、ひどく痛む時期とそうでない時期を繰り返す

✔ 家族(母親や祖母)に、指の関節が変形している人がいる

【注意:関節リウマチが疑われるサイン(赤旗症状)】

  • こわばりの長さ: 朝の指のこわばりが「1時間以上」続く
  • 痛む場所: 手の指だけでなく、手首、足の指、膝など「全身の複数の関節」が痛む
  • 全身症状: 痛みや腫れに加えて、微熱や強いだるさ(倦怠感)がある

※上記に当てはまる場合は、早急に血液検査によるリウマチの確認が必要です。

症状

ブシャール結節の症状は、指の使いすぎや時期によって変動します。

主な痛みの特徴

  • 運動時痛: 物をつまむ、握る、ねじるなどの動作で関節に痛みが走ります。
  • 安静時痛: 炎症が強い時期は、じっとしていてもズキズキと痛むことがあります。
  • 変形(結節): 進行すると、第二関節の軟骨がすり減って骨が尖り(骨棘)、関節が太く硬く(結節)なります。

日常生活への影響

包丁を握る、文字を書く、パソコンのキーボードを打つ、ボタンを留めるなど、指先の細かい動作が困難になり、生活の質(QOL)が著しく低下します。

自然経過

この病気は、一般的に以下の3つのステージを経て経過します。放置すると指が変形したまま固まってしまうため、早めの対応が重要です。

1. 炎症期(急性期)

関節が赤く腫れ、熱を持ち、強い痛みを感じる時期です。この時期の長引く炎症が、後の変形を引き起こします。

2. 変形期(進行期)

軟骨がすり減り、関節の骨のふちが大きくなって(結節)、指の形が曲がったり太くなったりしてきます。

3. 安定期(慢性期)

数年経過すると炎症が落ち着き、痛みは和らぎます。しかし、一度完成してしまった骨の変形は元には戻りません。

原因

ブシャール結節のはっきりとした原因は完全には解明されていませんが、以下の要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。

主な要因

  • 女性ホルモンの低下: 閉経前後にエストロゲンが急激に減少することで、関節を保護する働きが弱まります。
  • 加齢・遺伝: 年齢とともに軟骨が劣化しやすく、体質的な遺伝も関与します。
  • 指の酷使: 長年の家事、手作業、パソコン作業による物理的な負担。

最新知見:モヤモヤ血管

長引く指の痛みの原因として、関節周囲に「モヤモヤ血管(異常な炎症性血管)」が増殖していることが近年わかってきました。この血管と一緒に神経も増えるため、過敏な痛みが続きます。

 

検査・鑑別診断

指の痛みにおいて最も重要なのは、「関節リウマチ」を除外することです。

  • 問診・身体診察: どの関節が腫れているかを確認します。
  • レントゲン検査: 第二関節の軟骨のすり減り(関節裂隙の狭小化)や、骨棘(こつきょく)の有無を確認します。
  • 超音波(エコー)検査: 軟骨や腱の状態、炎症による水溜まりや滑膜肥厚、異常な血流(モヤモヤ血管)をリアルタイムで視覚化します。
  • 血液検査: リウマチ因子(RF)や抗CCP抗体などを調べ、関節リウマチとブシャール結節を正確に見極めます。

ブシャール結節

指の「第二関節(PIP関節)」に起こる変形性関節症。血液検査は正常です。

ヘバーデン結節

指の「第一関節(DIP関節)」に起こる変形性関節症。病気のメカニズムはブシャール結節と同じです。

関節リウマチ

免疫の異常により全身の関節が破壊される病気。第二関節や手首にも症状が出ますが、血液検査で異常値が出ることが多いです。

一般的な治療

まずは手術をしない「保存療法」から開始します。

  • 局所の安静・固定: テーピングや専用の装具(スプリント)で関節の動きを制限し、負担を減らします。
  • 薬物療法: 消炎鎮痛剤(NSAIDs)の塗り薬や湿布、内服薬で痛みを和らげます。
  • サプリメント: 女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをする「エクオール」含有サプリメントが有効なケースがあります。
  • ステロイド注射: 痛みが非常に強い場合、関節内に少量のステロイドを注射し、強力に炎症を鎮めます。
【手術適応について】
保存療法を行っても痛みが取れず、指の変形がひどくて日常生活が送れない場合は、「関節固定術」や「人工関節置換術」などの手術が検討されることがあります。

他治療との比較

治療法 主な目的 メリット デメリット・注意点
テーピング・内服 安静と炎症緩和 手軽で自分でケアできる 根本治療ではなく、効果が限定的
エクオールサプリ ホルモンバランス補助 体質改善が期待できる 即効性は薄く、継続が必要
ステロイド注射 強力な炎症抑制 即効性が高い 頻回に打つと腱や軟骨が脆くなるリスク
動注治療 異常血管の消失 長引く痛みに根本からアプローチ 保険適用外(自費診療)
手術(関節固定など) 変形の矯正・痛みの除去 確実に関節を安定させる 術後は指が曲がらなくなる(固定術の場合)

動注治療

当院では、一般的な治療(テーピングや痛み止め)で改善しない「難治性」の指の痛みにも効果が見込める、外来ですぐに終える新しい治療選択肢を提供しています。
痛みの根本原因となっている「異常な血管(モヤモヤ血管)」にのみ作用する薬剤を、上腕もしくは手首の動脈へ注射する治療です。

  • 特徴: 注射手技で、短時間(数分)で終了する日帰り処置です。
  • 期待できる効果: 痛みを引き起こす不要な血管を減らすことで、数ヶ月単位で長引く痛みの早期軽減を目指します。複数本の指が同時に痛む場合でも、一度の治療でまとめてアプローチが可能です。

※関節リウマチも治療対象となります

【当院の治療が向かないケース】
  • すでに炎症の時期が終わり、痛みは全く無いが「変形だけを真っ直ぐに戻したい」という場合。(動注治療は痛み減らす治療であり、骨の形を治すことはできません)
  • 関節リウマチの活動性が高く、全身の免疫治療が最優先される場合。

よくあるご質問(FAQ)

A. 指の「第二関節(PIP関節)」の軟骨がすり減り、痛みや腫れが出る変形性関節症の一種です。進行すると関節が太く変形し、「結節」と呼ばれる骨の出っ張りができます。
A. 症状が出る場所が違います。第一関節(指先に一番近い関節)に症状が出るのが「ヘバーデン結節」、第二関節に出るのが「ブシャール結節」です。原因や病気の性質はほぼ同じです。
A. 第二関節が痛む場合、ブシャール結節と関節リウマチの両方の可能性があります。リウマチの場合は全身の関節痛や強いこわばりを伴うことが多く、正確な診断には血液検査が必要です。
A. 閉経の前後で、関節や腱を柔軟に保つ働きがある女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少するため、関節がダメージを受けやすくなることが大きな原因と考えられています。
A. 確実に遺伝する病気ではありませんが、関節の形や軟骨の強さなど「体質的な要因」は似やすいため、母親や祖母が発症している場合はリスクがやや高くなると言われています。
A. 料理人、美容師、手芸をよくする方、長時間のパソコン作業をする方など、日常的に指先を強く・細かく使う方に多く見られます。
A. 炎症期を放置して無理に使い続けると、軟骨の破壊が進み、指が曲がったまま太く骨が変形して固まってしまう(変形期・安定期へ移行する)リスクがあります。
A. 赤く腫れてズキズキ痛む時期(急性期)は、なるべく使わずに安静にすることが基本です。痛みが落ち着いてきたら、関節が固まるのを防ぐために、お湯の中で優しく曲げ伸ばしすると良いでしょう。
A. 関節自体を強く揉んだり押したりすると、かえって炎症を悪化させてしまうため避けてください。周囲の筋肉を優しくさする程度にとどめることをおすすめします。
A. はい、効果的です。専用のテープで第二関節の動きを軽く制限することで、日常動作での負担が減り、炎症と痛みが落ち着きやすくなります。
A. 女性ホルモンをサポートする働きがある大豆製品(豆腐、納豆など)を摂ることは良いとされています。大豆イソフラボンから作られる「エクオール」のサプリメントを推奨することもあります。
A. 寝ている間は関節を動かさないため、炎症によって生じた余分な水分や発痛物質が関節周囲に溜まり、朝一番にむくみや「動かしにくさ(こわばり)」を感じるためです。
A. 病気の初期段階では、まだ骨の変形や軟骨のすり減りがレントゲンに写らないことがあります。その場合でも、エコー検査をすると関節の周囲に強い炎症(モヤモヤ血管)が見つかるケースがよくあります。
A. 関節の炎症の強さは、指を使った頻度や気圧の変化、ホルモンバランス、疲労などによって日々変動するため、痛い時期と少し楽な時期を繰り返すのが特徴です。
A. 残念ながら、一度太く変形してしまった骨(結節)を、お薬や注射で元の真っ直ぐな状態に戻すことはできません。治療の最大の目的は「今ある痛みを減らすこと」と「これ以上の変形の進行を防ぐこと」です。
A. まずは整形外科を受診し、レントゲンや血液検査でリウマチの有無を確認することが基本です。当院でもレントゲンやエコー検査、採血は可能です。痛みが長引く場合は、手の専門医(手の外科)やペインクリニックでの相談も有効です。
A. 診察や検査、カテーテル治療、動注治療は公的保険の適用外となり、自費診療となります。
A. 手首や腕の血管に、健康診断の採血や点滴で使う針より細い針を刺します。刺す時のチクッとした痛みはありますが、気にならなかったという方もいらっしゃいます。
A. はい、可能です。処置そのものは数分程度で終了し、すぐにご帰宅いただけます。
A. 動注治療は、腕または手首の動脈からお薬を流すため、一本の指だけでなく、その手全体にある異常血管へ同時にアプローチすることができます。複数指が痛む方にも適した治療法です。

関連情報

監修:福岡ペインケアクリニック院長 坂井伸彰
(内科専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター)

循環器内科医としての高度な血管内治療(カテーテル)技術を、慢性的な痛みの治療に応用。長引く肩や膝、手・指の痛みに対し、低侵襲なカテーテル治療を数多く施術。現在は福岡と長崎を拠点に、患者様のQOL(生活の質)向上に尽力している。

参考文献

  1. 日本整形外科学会「変形性関節症」診療ガイドライン
  2. Okuno Y, et al. Transcatheter arterial embolization as a treatment for medial epicondylitis and other hand/wrist osteoarthritis. (関連論文)

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