〜痛み相談ブース出展のご報告〜
九州トランスラディアル研究会での「痛み相談ブース」出展
第35回 九州トランスラディアル研究会 熊本ライブデモンストレーション2026 にて、「痛み相談ブース」を出展させていただきました。
この研究会は、循環器内科の冠動脈インターベンション(PCI)や末梢血管インターベンション(EVT)の手技、知識、思考を学ぶ場です。
父が発起人として始めた研究会
実はこの研究会は、私の父が発起人として30年以上前に立ち上げたものです。
当時はまだ一般的ではなかった「手首(橈骨動脈)から心臓カテーテル治療を行う」という新しいアプローチを、九州に広めるために始まりました。
TRAのバイブル
20-30年前の研究会(飲み会)
今でこそ“当たり前”となった手首からのカテーテル治療ですが、その普及の背景には、多くの議論と挑戦、そして苦悩があったそうです。
私が小学生の頃、父がこう言っていたのを覚えています。
「新しいことを始める時は必ず批判される。でも、安全で有効であることが分かれば、手のひらを返して批判していた人たちが教えを乞いにくるんだよ」
昨年、兄が座長を務め、私がランチョンセミナーで痛みのカテーテル治療について講演させていただいてから1年。
再度この会に、兄弟そろって参加できたことを本当に嬉しく思います。
兄(コメンテーター)
「痛み相談ブース」開設の詳細
今回は、会場に隣接する個室にて「痛み相談窓口ブース」を開設しました。
ご来場いただいたのは、循環器内科の先生方、臨床工学技士の方、企業の方々など。中には、実際に痛みを抱えていらっしゃる先生もいらっしゃいました。
ブースでお話し・実践したこと
多くの先生方が興味深く耳を傾けてくださいました。
- 痛みの原因に関するご説明
- 超音波(エコー)を用いた評価
- モヤモヤ血管(炎症によって増えた異常血管)の確認
- 循環器内科医と痛み治療医のコラボレーションについて
「血管は守るもの」という常識への新たな視点
循環器内科医にとって、「血管は守るべきもの、狭くなったら広げるもの」という考えは当然の価値観です。
しかし私は今回、「減らしてはいけない血管と、減らしてよい血管があります」とお話ししました。
減らしてよい血管とは、炎症によって不要になった異常血管(モヤモヤ血管)のことです。これらは痛みの原因となる神経と並走し、慢性痛を持続させてしまいます。
そこへ一時的に塞栓物質を投与し、不要な炎症血管を減らすことで、以下の効果を目指します。
- 血流の正常化
- 炎症の鎮静化
- 痛みの軽減
先生方からは、「今までは狭い血管を広げてきたけれど、これからは“詰める”治療も面白いかもしれないね」というコメントをいただき、非常に印象に残りました。
痛みが減った時の患者さんの感動体験は、心筋梗塞をカテーテル治療した直後の「胸がスッと楽になる」あの体験と似ていると思います。そこに我々も大きなやりがいを感じているのです。
循環器カテーテル技術を応用した「痛み治療」
私の医師としてのバックグラウンドは循環器内科にあります。そのカテーテル技術を応用することで、痛みの血管内治療(動注治療・カテーテル治療)が可能になります。
循環器医だからこそ深く理解できる強みがあります。
- 緻密な血管の走行
- 微小血管の確実な描出
- 安全なアプローチ法
- 万が一の合併症への対応力
この技術が、整形外科領域の慢性痛にも応用できるのです。
次回の研究会に向けて
第36回研究会は、1年後に長崎県佐世保市で開催予定とのことです。
次回は、
- 痛み相談ブースの再開設
- 痛みのカテーテル治療ショートライブデモンストレーション
なども実現できればと考えています。
九州ペインケアネットワークとしての展望
九州ペインケアネットワークとして、循環器内科のコミュニティにも、
- 動注治療
- 痛みのカテーテル治療
という「新しい選択肢」を広めていきたいと思っています。
技術は既に確立されています。あとは「概念の共有」です。
感謝を込めて
今回、このような痛み相談ブースを開設させていただき、心より感謝申し上げます。
熊本医療センターの田山先生をはじめとする関係者の皆さま、そしてエコー機器を快く貸し出してくださったコニカミノルタジャパン株式会社の皆さまに、深く御礼申し上げます。
循環器の世界から始まった私の医師人生。これからも「血管を通して痛みを治す」挑戦を続けていきます。
九州から、新しい医療の選択肢を全国へ発信してまいります。
研究会前夜
坂井 伸彰
福岡ペインケアクリニック 院長
ながさきハートクリニック
九州ペインケアネットワーク
Kyushu PainCare Network
福岡ペインケアクリニックと、ながさきハートクリニックは、 モヤモヤ血管治療が受けられるクリニックで、同水準の治療とサポート体制を提供しています。


