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繰り返す膝の血腫とかかとをつけられないほどの痛みに対しカテーテル治療を行った症例

[2026.07.07]

症例概要

関節リウマチに伴う右膝の滑膜炎により、関節内の出血(血腫)を繰り返していた60代女性の症例です。多いときは2週間ごとに関節穿刺(血液を抜く処置)が必要で、腫れたときにはかかとをつけられないほどの痛みがありました。ながさきハートクリニック(長崎市)でカテーテル治療を行い、初診時を10とした痛みは約2ヶ月で2まで軽減。エコーで確認していた異常な血流もほぼ消失しました。

初診時の状態

約30年前から関節リウマチがあり、生物学的製剤による治療を継続中の方です。約半年前から右膝の腫れと痛みが出現し、関節内に血液がたまる状態(関節血症)を繰り返すようになりました。当初は月1回程度だった関節穿刺が、初診の頃には2週間もたずに血液がたまる状態となり、腫れたときにはかかとをつけて歩けないほどの強い痛みと、著明な熱感を伴っていました。

これまでヒアルロン酸注射などで改善していましたが今回は効果がなく、複数の医療機関を受診。血腫を繰り返していることと、免疫を抑える薬を使用中で感染リスクが高いことから手術は困難と判断され、カテーテル治療の適応判断のため当院へ紹介となりました。

当院初診時の超音波(エコー)検査では、右膝の内側・前面・外側の広い範囲で、滑膜に多数の異常な血流(炎症血管)を認めました。変形はあるものの炎症血管をほぼ認めない左膝との差は明らかでした。MRIでは関節内の水分貯留と骨髄浮腫を認めた一方、骨の表面は比較的保たれており、早期の炎症が痛みの主体と判断しました。

初診時のドプラーエコー(本症例)。患側の膝では滑膜に多数の血流シグナル(炎症血管〈モヤモヤ血管〉)を認め、健側にはほとんど認めません。

診断と治療方針

関節リウマチに伴う滑膜炎では、炎症とともに異常な血管(モヤモヤ血管)が増え、この血管がもろいために出血・血腫を繰り返すことがあります。血液を抜く処置だけでは原因となる血管が残るため、腫れと出血が繰り返されてしまいます。

本症例では、繰り返す血腫の原因が滑膜の炎症血管にあると判断し、カテーテル治療によって異常な血管を塞栓し、炎症そのものを減らす方針としました。手術では滑膜を完全には取りきれないこと、免疫を抑える薬の使用中で手術の感染リスクが高いことからも、皮膚を切らないカテーテル治療が適していると考えられました。あわせて、滑膜炎に対する関節内注射(ステロイド)を併用する計画としました。

治療内容(カテーテル治療)

カテーテル治療は、足の付け根または手首から極細のカテーテルを挿入し、痛みや出血の原因となる異常な血管を選択的に塞栓する日帰りの治療です。局所麻酔で行い、所要時間は約40〜60分です。

本症例では、右膝を栄養する8本の動脈すべてに異常な血管の増生を認め、それぞれに塞栓を行いました。治療の最後に、滑膜炎の強い部位へ関節内注射(ステロイド)を併用しています。

カテーテル治療を行う治療室。X線透視装置を用いて血管の状態を確認しながら治療します。
本症例の血管造影。治療前(左)に認めた異常な血管(モヤモヤ血管)が、塞栓後(右)には減少しています。

治療後の経過

時期 痛みの程度
(初診時=10)
状態
初診時 10 2週間ごとの関節穿刺が必要な状態。腫脹時はかかとをつけられないほどの痛み。著明な熱感。エコーで広範囲の炎症血管。
約3週間後 カテーテル治療を実施(8本の動脈を塞栓)。終了時に関節内注射を併用。
治療後 約1ヶ月 4 熱感が大きく軽減。関節内注射を併用。
治療後 約7週 2 痛みがさらに軽減し、エコーでの異常血流はほぼ消失。関節内注射を併用。再発予防のため運動療法(コンディショニング)を開始。

運動療法では、膝の可動域訓練とストレッチ、太もも周囲の筋力トレーニングを行い、自宅で続けられるエクササイズ(太もも前面の筋力訓練、ふくらはぎのストレッチなど)を指導しました。今後も状態に応じて段階的に強化していく予定です。

担当医コメント

坂井 伸彰(福岡ペインケアクリニック 院長/ながさきハートクリニック)

日本専門医機構認定内科専門医。異常な血管(モヤモヤ血管)を標的とした痛みの血管内治療を専門とし、国内外の学会で発表を行っています。

関節に血液がたまるのを繰り返す場合、血液を抜く処置だけでは出血源となる炎症血管が残るため、根本的な解決になりにくいのが実情です。本症例のように持病や薬の影響で手術が難しい方でも、カテーテル治療は皮膚を切らずに日帰りで実施でき、有力な選択肢となります。関節穿刺を繰り返している方、腫れと熱感が続いている方は、一度エコーで炎症血管の有無を確認することをおすすめします。

費用・リスクについて

カテーテル治療(膝・片側): 308,000円(税込)。料金の詳細は料金表をご覧ください。

主なリスク・副作用

  • 穿刺部の内出血(約4%)
  • アレルギー反応(約2%)
  • 一時的な痛みの増加(約5%)

※いずれも数日〜数週間で改善します。皮膚壊死などの重篤な合併症の報告はありません(当院実績)。

※ 本記事は当院で実施した治療の一例をご紹介するものであり、すべての方に同様の経過を保証するものではありません。治療の適応や効果には個人差があります。本症例では関節内注射を併用しています。

※ 動注治療・カテーテル治療は自由診療(保険適用外)です。医療費控除の対象となる場合があります。

膝の腫れや血腫を繰り返し、穿刺や注射では改善しない方へ

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モヤモヤ血管治療が受けられるクリニックで、同水準の治療とサポート体制を提供しています。

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