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国際学会(VENTI2025)を振り返って

[2025.12.19]

〜世界が注目する「痛みの血管内治療」の最前線〜

こんにちは。
福岡ペインケアクリニック院長の坂井です。

今回は、2025年11月に東京で開催された
VENTI 2025 TOKYO(国際学会)に参加してきました。

この学会は、
Vascular Embolotherapy and Nerve interventions Targeting Inflammation and pain
という名前の通り、

「炎症によって増えた異常な血管(モヤモヤ血管)」
「その周りの神経」

をターゲットにして痛みを治す、
世界でも最先端の新しい痛み治療 がテーマの国際会議です。

国際学会なので、全ての発表は英語でした。

頭をフル回転させ、集中して聞くとともに、英語の口頭発表はとても緊張しました。。。

■ そもそもVENTIとは?

VENTIは、
運動器(肩・肘・膝・足など)の慢性痛を、カテーテル治療で改善する
という考え方を世界に広める国際学会です。

会議の中心となる治療は以下の2つです:

●運動器カテーテル治療や動注治療

Transcatheter Arterial Microembolization(TAME)
→ モヤモヤ血管を“ピンポイント”で減らす治療

● 神経介入治療

→ パルス高周波(PRF)や熱凝固、クーリーフなどで神経の興奮を落ち着かせる治療

  • 「新生血管+神経」のメカニズムに基づく治療

  • 世界の症例・技術・フォローアップを共有

  • “治療法がない痛み”に対する新しい選択肢を議論

つまり、「長引く痛みに対して新しい時代をつくる治療」
を世界中の専門家が持ち寄る場です。

■ 会場はほぼ満席。参加者の約9割が外国人

私は初日の朝9時半ごろ会場に着きましたが、すでに満席で立ち見の方もたくさんいました。

  • 参加者は340名以上

  • 約9割が外国人

  • 台湾・タイ・モンゴル・インド
    アメリカ・イギリス・イタリア・フランスなど
    世界中から専門家が集結していました。

日本発の治療を学ぶために、これほど多くの海外医師が集まる学会はとても珍しく、
「世界が本気でこの治療を必要としている」
と実感しました。

発表時にはみんな携帯を手に取り、動画や写真を撮影していました。

■ 「膝」と「肩」のカテーテル治療の研究が進む

特に膝と肩の発表が多く、世界全体で

  • 変形性膝関節症(膝OA)

  • 四十肩・五十肩・肩板断裂に伴う炎症

などの治療が注目されていました。

● アメリカとドイツは、痛みのカテーテル治療が「保険治療」になっている

そのため症例数がとても多く、
日本より先に研究がどんどん進んでいます。

■ どんな人がTAMEの良い適応か?

学会で最も議論されていたのは、
“誰にTAMEが向いているのか?” という点でした。

● 変形が強すぎる場合(軟骨や骨の大きな損傷)は効果が弱い

逆に…

・変形がそれほど強くない
・炎症(滑膜炎)が中心

の場合は、TAMEはとても良い適応になります。

これは、当院での臨床経験とも一致しています。

■ アキレス腱炎の“モヤモヤ血管パターン”も注目

  • アキレス腱炎の人はモヤモヤ血管(異常血管)の出方が4段階に分類できる

  • モヤモヤの強さと治療成績が結びついている

という、とても興味深い発表もありました。

■ 海外は「適応の議論」

  日本は「患者さんの目線の議論」が多かった
海外の発表では
「どの症例なら適応か?」
の議論が多く、

一方、日本の先生方の発表では、

  • 早くスポーツ復帰したい選手

  • 組織修復を重視した治療

  • アスリートの悩み

といった、より患者さんの人生に寄り添った視点が多いのが印象的でした。

■ 私も発表してきました

今回の学会では、

● 口頭発表

心臓バイパス手術後の胸の慢性痛に対して、
TAMEを行い痛みが改善した症例

● ポスター掲示

日本における部位別のTAME成績
(肩・肘・膝・足は大きく改善、腰や帯状疱疹後神経痛は改善が小さめ)

など、九州大学大学院での研究成果をまとめて発表しました。

特に、
痛みの期間が1年未満の患者さんのほうが改善が大きい
という結果は、多くの先生に興味を持っていただけました。

■ 世界のトレンド:神経への治療も急速に拡大

学会後半では、
パルス高周波(PRF)・熱凝固・クーリーフなど、
神経にアプローチして膝痛などを治す治療も紹介されていました

今後さらに発展しそうです。

■ 学会を振り返って感じたこと

  • 世界でのTAME・GAE(膝の塞栓治療)の注目度は非常に高い

  • 多くの国で臨床研究が進行中

  • 適応についての議論がこれから深まる

  • 膝に限らず、肩・肘・足・胸の術後痛まで広がっている

そして何より、

「日本はこの分野で世界をリードしている」

という事実を、改めて強く感じました。

■ 国内・海外Dr.との交流

この治療は確実に日本中・世界中に広まっています。痛み治療を変えるゲームチェンジャーの治療と言われています。

2日間、多くの国内外のDr.と交流ができて、とても充実した国際学会となりました。

再来年の4月に再度東京で2回目の国際学会があるとのことで、とても楽しみです。

■ 私の思い

2025年現在、九州においてすべての部位にTAMEができる医師は私だけです。

福岡と長崎を毎週行き来して、患者さんの治療にあたっています。

世界中から注目されるこの治療を、
福岡・長崎・九州の患者さんにも正しく届けられるよう、
これからも学びと研究を続け、そして、

「治療法がないと言われた」
「どこに行っても良くならなかった」

そんな慢性的な痛みで困っている方に、
新しい選択肢を示せるクリニックでありたいと思っています。

また、この治療に共感してくれる仲間も増えてきて、とても嬉しいです。

これからも情報発信、教育、治療等を続けますので、どうぞよろしくお願いします。

福岡ペインケアクリニック / ながさきハートクリニック 坂井伸彰

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