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【論文紹介】慢性前立腺炎のカテーテル治療|5年続く痛みが半減

[2026.02.25]

【論文解説】「5年続く痛み」が半分に?
慢性前立腺炎のカテーテル治療の実力

「抗生物質を飲んでも、痛み止めを飲んでも、会陰部(股の付け根)のジンジンした痛みが治らない…」
そんな原因不明の慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群:CPPS)に悩む男性は少なくありません。

数年単位で痛みが続き、「もう一生付き合っていくしかないのか」と諦めかけていませんか?
実は近年、「痛みの原因である異常な血管を直接塞ぐ」という全く新しいアプローチ(カテーテル治療)が注目を集め、優れたエビデンス(科学的根拠)が報告され始めています。今回は、その根拠となる重要な医学論文を分かりやすく解説します。

1. お薬が効かない理由は「異常な血管」だった?

論文の紹介に入る前に、なぜあなたの痛みが何ヶ月、何年も治らないのか、最新の知見をおさらいしましょう。

慢性前立腺炎で痛みが続く部位には、「異常な炎症血管(モヤモヤ血管)」ができていることが分かっています。この血管は、「痛みを感じる神経」と一緒に増えるという厄介な性質を持っています。お薬(抗生物質や鎮痛剤)では、この「増えすぎた血管と神経のネットワーク」を根本から無くすことは難しいため、痛みがぶり返してしまうのです。

そこで登場したのが、点滴の針より細い管(カテーテル)を使って、この異常な血管だけをピンポイントで塞いで減らす治療法です。

2. 【論文紹介①】「平均5年」続いた痛みがどう変わったか?

カテーテル治療のエビデンスとして非常に説得力があるのが、ヨーロッパのIVR(画像下治療)専門誌「CardioVascular and Interventional Radiology (CVIR)」に掲載された44例の報告です。

論文①:慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群に対する経カテーテル動脈塞栓術:44例の後ろ向き研究
Transcatheter Arterial Embolization for Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome: A Retrospective Study of 44 Patients (CVIR掲載)

【どんな患者さんが対象?】
対象となった44名の方の症状持続期間は平均 約59か月(約5年!)。長期間、非常につらい痛みに耐えてこられた患者さんたちです。
この方たちの前立腺動脈にカテーテルを入れ、「イミペネム・シラスタチン」という薬剤を用いて、炎症で増えた異常血管を塞栓(そくせん)しました。

【結果はどうだった?】
治療後、6ヶ月以上にわたって経過を追った結果、痛みの強さと症状スコアが持続的に改善していくことが確認されました。

痛みの強さ (NRS: 0〜10)
7.0 ➔ 3.4
(約50%以上の改善)
前立腺炎スコア (NIH-CPSI)
27 ➔ 18
(生活の質が有意に改善)

【治療後の経過(痛みの推移)】
治療前 [7.0] → 1ヶ月後 [4.8] → 3ヶ月後 [4.1] → 6ヶ月後 [3.7] → 最終 [3.4]
このように、治療直後からスッと痛みが引き、その後もリバウンドすることなく改善が持続しているのが大きな特徴です。

👉 結論:重篤な合併症は報告されず(一時的な排尿違和感などのみ)、「異常な血管を減らす」という理論の正しさを強く裏付けるデータとなりました。

3. 【論文紹介②】デンマークでの前向き研究データ

もう一つ、2021年に発表されたデンマークの研究グループによる論文もご紹介します。

論文②:慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群に対する前立腺動脈塞栓術(前向き研究)
Malling B, et al. / Journal of Vascular and Interventional Radiology. 2021.

こちらの研究でも同様に、従来の治療が効かなかった患者さんに対してカテーテル治療を行い、6ヶ月後の痛みのスコア(NIH-CPSI)が「平均25点から、10〜12点まで減少」したことが報告されています。
複数の研究機関から「スコアが半分以下になる」という似たようなデータが報告されていることは、この治療の再現性の高さを示しています。

4. 治療を受ける前に知っておいていただきたいこと(注意点)

論文のデータが示す通り、カテーテル治療は長引く痛みを抱える方にとって非常に希望が持てる選択肢です。しかし、医療において「100%完璧な治療」はありません。当院では患者さんに納得して治療を受けていただくため、以下の点も包み隠さずお伝えしています。

■ まだ「標準治療」ではありません
今回ご紹介した44例の論文は「後ろ向き研究(過去のデータを集計したもの)」であり、プラセボ(偽薬)を使った比較試験ではありません。医学界全体での「標準治療」となるには、さらに大規模な長期データが必要な段階です。

■ 効果には個人差があります
全ての方の痛みが「ゼロ」になるわけではありません。また、治療は健康保険適用外(自費診療)となります。

当院でのカテーテル治療のご案内

福岡ペインケアクリニック・ながさきハートクリニックでは、これらの最新の医学的エビデンスに基づき、長引く慢性前立腺炎・CPPSへの「日帰りカテーテル治療」を行っています。

「5年続いた痛みでも改善の余地がある」という論文データは、多くの方の希望になるはずです。どこに行っても治らなかったその痛み、まずは私たちにご相談ください。

5. 出典・参考文献

  • Transcatheter Arterial Embolization for Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome: A Retrospective Study of 44 Patients. CardioVascular and Interventional Radiology (CVIR).
  • Malling B, et al. Prostatic Artery Embolization for Chronic Prostatitis/Chronic Pelvic Pain Syndrome: A Prospective Study. Journal of Vascular and Interventional Radiology. 2021.
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Kyushu PainCare Network

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モヤモヤ血管治療が受けられるクリニックで、同水準の治療とサポート体制を提供しています。

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