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肩関節周囲炎(五十肩)

 

 

肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の長引く痛みと可動域制限を解消するために

この記事の要点

肩関節周囲炎(五十肩・四十肩)は、肩の関節を包む「関節包」に炎症が起き、痛みと動きの制限(拘縮)が生じる疾患です。

「夜、痛みで目が覚める」「腕が上がらず着替えが辛い」といった症状が数ヶ月続くのが特徴で、放置すると関節が固まるリスクがあります。
一般的な治療で改善しない長引く痛みには、炎症の原因となる異常血管へアプローチするカテーテル治療が早期の痛み改善の治療選択肢となります。

セルフチェック

以下の項目に当てはまるものが多い場合、肩関節周囲炎の可能性があります。

✔ 腕を前から上げると、耳の横まで届かずに途中で止まる

✔ エプロンの紐を結ぶ、髪を洗うなどの動作が痛い

✔ 夜寝ている時に、肩がズキズキと痛んで目が覚めることがある

✔ 駐車券を取る時など、腕を後ろに伸ばす動作が辛い

✔ じっとしていても、肩の奥が重だるい、うずくような感じがする

✔ 痛い方の肩を下にして寝ることができない

✔ 不意に腕が動いた時、激痛が走る

✔ 以前より肩の動く範囲が狭くなっている気がする

【注意:すぐに受診が必要なサイン(赤旗症状)】

  • 外傷: 転倒や強打の直後から腕が全く動かない(骨折や脱臼の疑い)
  • 感染: 発熱を伴い、肩が赤く腫れ、激しい熱感がある(化膿性関節炎の疑い)
  • 麻痺: 手や腕に力が全く入らない、あるいは強いしびれがある(神経障害の疑い)

症状

肩関節周囲炎は、時期によって現れる症状が変化します。

主な痛みの種類

  • 安静時痛: じっとしていてもズキズキと、重だるい痛みを感じます。
  • 夜間痛: 就寝中に痛みで目が覚め、睡眠の質が著しく低下します。
  • 運動時痛: 洗濯物を干す、吊革をつかむなど、特定の動作で鋭い痛みが走ります。
肩の痛みのイメージ

日常生活への影響

肩の可動域(かどういき:動く範囲)が狭まるため、洗髪、結髪(髪を結ぶ)、更衣、エプロンの着脱、背中に手を回す動作などが困難になります。

自然経過

この病気は、一般的に以下の3つのステージを経て経過します。

1. 炎症期(急性期)

痛みが最も強い時期です。炎症が活発で、安静にしていても痛み、夜間痛も頻繁に起きます。

2. 拘縮(こうしゅく)期

炎症は落ち着いてきますが、関節が固まり、腕の動く範囲が最も制限される時期です。

3. 解氷(かいひょう)期

徐々に関節の硬さが取れて、動く範囲が自然に広がってくる回復期です。

期間の目安:
全体で数ヶ月から、長い場合は1年〜2年以上の時間を要することもあります。放置しても痛みは引くことが多いですが、「肩が上がらないまま」関節が固まってしまう(機能障害)ことがあるため、適切な介入が推奨されます。

原因

肩関節周囲炎の原因は、加齢に伴う組織の変性を基盤として、複数の要因が重なって発症すると考えられています。

主な要因

  • 加齢変化: 骨、軟骨、靭帯などが脆くなる
  • 関節包の炎症と癒着: 膜が分厚く硬くなり癒着する
  • 背景要因: 運動不足、猫背、過度な使用
  • 併存疾患: 糖尿病や甲状腺疾患(難治化しやすい)

最新知見:モヤモヤ血管

近年、慢性的な炎症部位には「モヤモヤ血管(異常な炎症性血管)」が増殖し、それに伴って神経も増えることで痛みが長引く一因となっていることが解明されつつあります。

検査

適切な診断のために、以下の検査を組み合わせて行います。

問診・身体診察: 痛みの部位や、腕がどこまで上がるか(可動域)を正確に評価します。

レントゲン検査: 骨の変形や、石灰沈着の有無を確認します。五十肩自体は写りませんが、他疾患の除外に必須です。

超音波(エコー)検査: 炎症の強さや、腱(スジ)の腫れ、血流の増加(炎症の勢い)をリアルタイムで確認します。

MRI検査: 腱板断裂(筋肉の筋が切れること)や、目に見えにくい微細な損傷、炎症範囲を詳細に調べます。

鑑別疾患(見分けのポイント)

五十肩と似た症状を持つ病気との違いは以下の通りです。

腱板断裂

筋肉の筋が切れた状態。五十肩と違い「腕を上げる力が入らない」ことが特徴です。

石灰沈着性腱板炎

石灰(カルシウム)が溜まる病気。突然の激痛が起こり、レントゲンで白く写ります。

変形性肩関節症

軟骨がすり減る病気。進行が緩やかで、動かすと「ゴリゴリ」という感触を伴うことがあります。

頚椎症

首の神経の問題。首を動かすと肩や腕に電気が走るような痛みやしびれが出ます。

一般的な治療

多くの場合は、手術をしない「保存療法」が選択されます。

  • 薬物療法: 痛み止め(消炎鎮痛剤)の内服や湿布を使用し、痛みの悪循環を断ちます。
  • 注射療法: ヒアルロン酸やステロイド剤を関節内に注入し、強力に炎症を抑えます。
  • リハビリテーション: 理学療法士が固まった筋肉をほぐし、正しい動きを再教育します。
  • ハイドロリリース: 超音波で見ながら、筋膜の癒着を水分(生理食塩水など)で剥がす処置です。
【手術適応について】
保存療法を3〜6ヶ月継続しても改善が見られず、日常生活に深刻な支障がある場合には、関節鏡視下授動術やサイレントマニピュレーション(麻酔下徒手矯正)が検討されます。

他治療との比較

治療法 主な目的 メリット デメリット・注意点
薬物・湿布 炎症の緩和 手軽で副作用が少ない 重症例では効果限定的
リハビリ 可動域の回復 根本的な機能改善 期間を要し継続が必要
ステロイド注 強力な消炎 即効性が高く有効 頻回に行うと組織損傷リスク
カテーテル治療 異常炎症血管の消失 長引く痛みに有効・日帰り 保険適用外(自費)
手術 癒着の物理的剥離 可動域が劇的改善の可能性 入院・術後長期リハビリ

当院の治療 ※自費診療

当院では、標準的な治療で改善しない「難治性」の肩関節周囲炎に対し、以下の低侵襲(体への負担が少ない)治療を行っています。

カテーテル治療(動注治療)

慢性炎症に伴って増えすぎた「異常な血管(モヤモヤ血管)」に、極細の管(カテーテル)を用いて薬剤を直接届け、早期に炎症を鎮める治療です。

  • 特徴: 手首や足の付け根からカテーテルを挿入する日帰り処置です。
  • 期待できる効果: 痛みを引き起こす異常な血流を抑制し、長期間続く痛みの早期鎮静化を目指します。

超音波ガイド下注射

エコーで神経や血管、炎症部位をミリ単位で確認しながら、的確にステロイド剤やハイドロリリースを行う処置です。

【当院の治療が向かないケース】
  • 明らかな完全腱板断裂があり、手術が第一選択となる場合。
  • 重度の造影剤アレルギーがある場合(カテーテル治療時)。
  • 全身性の活動性感染症がある場合。

治療後の経過とリスク

治療直後に痛みが完全に消えるわけではなく、炎症の鎮静化に伴い数週間かけて徐々に改善します。特に夜間痛の改善は1-3以内に実感する方が多いです。
痛みが軽減した後は、固まった関節を動かすための「リハビリテーション」を併用することが、可動域を完全に取り戻すための鍵となります。

リスク・副作用

一時的な痛み: 処置後1〜3日程度、穿刺部の痛みやダルさが出ることがあります。

内出血: 注射やカテーテルの刺入部に青あざができることがありますが、通常2週間程度で消失します。

効果の個人差: すべての方に劇的な改善を保証するものではありません。

よくあるご質問(FAQ)

A. 同じ病気です。40代でなれば四十肩、50代なら五十肩と呼ばれますが、医学的には「肩関節周囲炎」という一つの疾患です。
A. 加齢による組織の劣化に、使いすぎや姿勢の悪さが加わり、関節包に炎症が起きるためです。最近では、異常な血管(モヤモヤ血管)が痛みを長引かせる原因の一つとして知られています。
A. 「夜、痛みで目が覚める」「腕が上がらず着替えができない」といった状態が2週間以上続く場合は、我慢せず受診を検討してください。
A. 痛みは数年で引くことが多いですが、適切な治療をしないと「肩が十分に上がらない」といった後遺症(拘縮)が残る可能性があります。
A. ズキズキと熱を持って痛むときは冷やし、重だるく動きが悪いときは温めるのが一般的です。基本的には「本人が心地よい方」を選んで問題ありません。
A. 筋肉の緊張をほぐす効果はありますが、強い痛みがある時期に無理に揉むと炎症を悪化させることがあります。専門家の指導を受けてください。
A. 痛い方の肩を上にし、抱き枕を使ったり、痛い側の肘の下にクッションを置いたりして、肩が後ろに垂れないようにすると痛みが和らぎやすくなります。
A. 痛みが落ち着いてきたら、テーブルに手をついて体を揺らす「アイロン体操(振り子運動)」が有効です。ただし、激痛がある間は控えましょう。
A. 炎症期(激痛期)は安静が優先ですが、拘縮期(動きにくい時期)は、痛みと相談しながら徐々に動かしていくことが回復を早めます。
A. 片方が発症した後、数年以内にもう一方の肩が発症するケースは比較的多く見られます。
A. はい、糖尿病の方は血糖値の影響で組織のコラーゲンが硬くなりやすく、炎症も長引きやすいため、より早期からの積極的な治療が推奨されます。
A. レントゲンは骨を写すのが得意ですが、痛みの原因である「膜(関節包)の炎症」や「細かい筋肉の損傷」は写りません。その場合はエコーやMRIが有効です。
A. 当院ではまず問診を行い、レントゲンで骨の状態を、エコーで現在の炎症の強さや血管の状態を確認します。
A. 転倒後の激痛、高熱、手足のしびれや麻痺がある場合は、重篤な疾患の可能性があるため、直ちに整形外科を受診してください。
A. 同じ側の肩が再発することは稀ですが、筋力低下や姿勢の悪さが続くと、肩の別の部位を痛める可能性はあります。
A. 日頃から肩甲骨を動かすストレッチを行い、筋肉がこわばることを防ぐことが重要です。
A. 当グループクリニックの痛みの診療(注射、カテーテル治療、動注治療)は自費診療(公的保険外)となります。料金はコチラをご参照ください。
A. 処置自体は30分〜1時間程度です。前後の準備や休憩を含め、数時間の滞在で日帰りが可能です。
A. 局所麻酔を使用するため、処置中の痛みはほとんどありません。血管内に薬剤が入る際に、一時的に重だるい感覚が出ることがあります。
A. はい、カテーテル治療は局所麻酔で行う低侵襲な治療ですので、ご高齢の方でも受診いただけます。

関連情報

医師写真
監修:福岡ペインケアクリニック院長 坂井伸彰
(内科専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター)

循環器内科医としての高度な血管内治療(カテーテル)技術を、慢性的な痛みの治療に応用。長引く肩や膝の痛みに対し、低侵襲なカテーテル治療を数多く施術。現在は福岡と長崎を拠点に、患者様のQOL(生活の質)向上に尽力している。

参考文献

  1. 日本整形外科学会「肩関節周囲炎」診療ガイドライン
  2. 越智隆弘 他編:今日の整形外科治療指針 第8版. 医学書院, 2021.
  3. Okuno Y, et al. Transcatheter arterial embolization as a treatment for adhesive capsulitis of the shoulder: a prospective observational study. J Vasc Interv Radiol. 2014.

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