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有痛性腱板断裂

有痛性腱板断裂(ゆうつうせいけんばんだんれつ)
夜間痛・肩が上がらない・手術したくない方へ

夜中に肩が痛んで目が覚める。腕を上げるたびにズキッと痛む。MRIで「腱板断裂」と言われ、「手術しかない」と告げられた——それでも、できれば外科手術は避けたい方へ。

実は、腱板が切れていても痛みなく生活している方は大勢います。痛みの原因は「切れていること」だけではなく、患部に増殖した異常血管(モヤモヤ血管)による炎症が大いに関係しているからです。当院では、このモヤモヤ血管に直接アプローチするカテーテル治療(TAME)を福岡・長崎の両院で提供しています。

📋 この記事のポイント
  • 腱板断裂で長引く痛みの正体はモヤモヤ血管(異常血管)——断裂が残っても痛みを消せる可能性がある
  • MRI所見と痛みの強さは一致しない——「小さな断裂なのに激痛」「大きな断裂でも無症状」の理由を解説
  • 当院のカテーテル治療(TAME)は日帰り・局所麻酔——長期入院・全身麻酔不要。翌日からデスクワーク復帰可能
  • 夜間痛に悩む難治例ほど効果が期待できる——エビデンスあり(Okuno et al. 2017)
  • ステロイドに頼らない炎症コントロール——繰り返す注射の限界を超える新しい選択肢

① 有痛性腱板断裂とは

有痛性腱板断裂とは、肩関節を動かす4つのインナーマッスル(腱板)が断裂し、痛みや機能低下を引き起こしている状態です。60代以上では約20〜30%が無症状の断裂を持つとされており(Yamamoto et al. 2010)、断裂=痛みではありません。痛みの正体は断裂そのものより、慢性炎症に伴い増殖するモヤモヤ血管(病的新生血管)にあります。

エコー:左が炎症のある肩(モヤモヤ血管が多数)、右は正常側。

腱板の中で何が起きているか

断裂部に炎症が続くと、修復のために異常新生血管(モヤモヤ血管)が大量に侵入します。この血管は痛覚神経線維とセットで増殖するため、「断裂が小さくても激しい夜間痛」が起きます。

ステロイド注射で一時的に炎症を抑えても、モヤモヤ血管が残る限り炎症は再燃します。「注射して数ヶ月で痛みが戻る」のはそのためです。

🔬 炎症 → モヤモヤ血管増殖のメカニズム
🦾
① 腱板の損傷・負荷
加齢・使いすぎ・転倒による断裂
🔥
② 急性炎症
修復反応として強い炎症が発生。この段階では保存療法が有効
🌀
③ 慢性炎症へ移行
修復が不完全なまま炎症が長期化。組織が傷み続ける
🩸
④ モヤモヤ血管増殖
修復反応として痛覚神経と一緒に異常血管が大量侵入
😣
⑤ 治らない夜間痛・難治性疼痛
増殖した神経が痛み信号を出し続ける → ステロイドを打っても戻る
💡 血管の内側からアプローチするという新しい考え方

モヤモヤ血管が痛みの根本原因なら、その血管を塞ぐことで痛みを断ち切れる——これがカテーテル治療(TAME法)の考え方です。腱が切れていても、炎症さえ取れれば「痛みのない断裂」として生活できます。

② 症状・セルフチェック

有痛性腱板断裂の代表的な症状は「動作時の痛み」「夜間痛」「筋力低下」の3つです。五十肩(凍結肩)と混同されやすいですが、関節が全方向に固まる五十肩と違い、特定の角度だけ痛むのが特徴です。

🔺 動作時痛(ペインフルアーク)

腕を横から上げるとき60〜120度の角度で「ズキッ」と痛みが走る。上げきると楽になる「痛い角度の窓」が特徴。洗濯物を干せない・高い棚に手が届かない原因に。

🌙 夜間痛

仰向けで寝ると肩に重みが集中して関節内圧が上昇。夜中に寝返りのたびに目が覚める。朝方が一番つらく、睡眠の質が著しく低下します。

💪 筋力低下・脱力感

腕を支える腱板が切れているため、腕が重くなる・着替えで腕が通せない・利き手が思うように使えない。重いものを持ち上げようとすると腕がストンと落ちることも。

📌 関節のきしみ音

肩を動かすと「ゴリゴリ」「ジョリジョリ」という音や感触がある。断裂した腱が隣接する構造物に擦れることで生じます。ゴルフのバックスイングで痛みが走ることも。

🔒 後ろに手が回らない

エプロンの紐を結ぶ・ブラのホックを留める・ズボンの後ろポケットに手を入れる——「結帯動作」と呼ばれるこれらの動きで痛みが走り、日常の何気ない動作がつらくなります。

⚡ 断裂の瞬間の音・急な脱力

転倒や重量物を持ち上げた瞬間に「ブチッ」という音や感覚があり、その直後から腕に力が入らなくなった——急性断裂に特徴的なエピソードです。

📋 セルフチェックリスト
3個以上当てはまる場合は専門医への受診を検討してください
  • 腕を横から上げると、途中(肩の高さ付近)で強い痛みが走る
  • 夜中に肩が痛んで目が覚める。寝返りがつらい
  • 着替え・エプロンの紐・ブラのホックが自分でできない
  • 洗濯物を干す・高い棚に手を伸ばす動作が困難
  • 腕を下ろすとき、途中でストンと力が抜ける感覚がある
  • MRIで「腱板断裂」と言われたが、五十肩と言われ続けていた
  • ステロイド注射を受けたが、2〜3ヶ月で痛みが戻る
  • リハビリを半年以上続けているが、夜間痛だけが改善しない
  • ゴルフ・テニスのスイングで痛みが走り、スポーツができない
  • 糖尿病があり、傷の治りが遅く炎症が長引きやすい
⚠️ 下記の症状があればすぐに整形外科を受診してください
  • 感染が疑われる場合:肩が真っ赤に腫れ上がり、発熱を伴う激痛がある(化膿性関節炎の疑い)
  • 外傷直後で腕が動かない場合:転倒や衝撃の後、腕が全く上がらなくなった、または強い変形がある
  • 手・指に強いしびれや麻痺がある場合:頸椎疾患や神経障害の可能性があり、まず整形外科での精査が必要です

③ 原因

腱板断裂の最大の原因は「加齢による腱の変性(劣化)」です。40代以降は腱への血流が徐々に低下し、弾力性が失われて断裂しやすくなります。さらに慢性的な使いすぎや一度の外傷が引き金になります。

加齢・変性
40代〜:腱の血流低下・弾力低下
60代以降では無自覚に切れているケースも多い。最も多い原因
使いすぎ(オーバーユース)
ゴルフ・テニス・水泳・重労働・デスクワーク
繰り返しの摩耗で部分断裂が徐々に完全断裂へ進行する
急性外傷
転倒して手をついた・重いものを急に持ち上げた
比較的若い世代にも起こる急激な完全断裂
肩峰下インピンジメント
腕を上げるたびに腱が骨(肩峰)にぶつかる
猫背・巻き肩の方に多い。部分断裂の原因になる
糖尿病・全身疾患
組織の修復力低下・慢性高血糖による変性促進
治りにくく炎症が長引きやすい。モヤモヤ血管も増殖しやすい
モヤモヤ血管の増殖
慢性炎症に伴う病的新生血管の侵入
断裂が小さくても激しい夜間痛が起きる理由がここにある
血管撮影:上がモヤモヤ血管(治療前)、下が治療後のモヤモヤ血管消失

④ 放置するとどうなる?

腱板断裂は放置すると断裂が拡大し、最終的に変形性肩関節症へと進行するリスクがあります。また夜間痛が続くことで「痛みの記憶」が脳に刻まれ、より治りにくい状態になります。

初期:部分断裂・軽度の炎症
リハビリ・安静・注射で改善しやすい時期。早期介入が最も効果的
慢性期:完全断裂・モヤモヤ血管の増殖
夜間痛が顕著。保存療法の効果が落ちてくる。血管へのアプローチを検討する段階
進行期:断裂拡大・棘上筋の萎縮
筋肉が萎縮すると腱の縫合手術が困難になる場合がある。要精査
末期:変形性肩関節症・腱板断裂性関節症
骨が変形して腕がほとんど上がらない。人工関節も選択肢になりうる
⚠️ ステロイド注射の繰り返しには注意が必要です

ステロイドは炎症を強力に抑えますが、同じ部位への繰り返し投与は腱の脆弱化を招く可能性が指摘されています。「注射でいったん楽になるが、すぐ戻る」が続いている場合、モヤモヤ血管へのアプローチを検討する段階かもしれません。

⑤ 検査

腱板断裂の確定診断にはMRIが必須ですが、MRI所見と痛みの強さは必ずしも一致しません。超音波(エコー)による血流評価と組み合わせることが重要です。

問診・身体所見 徒手検査
可動域・ペインフルアーク(60〜120度の痛み)・ドロップアームテスト
可動域が全方向に制限されていれば五十肩との見分けを優先する
レントゲン(X線) 骨格確認
骨頭の上方偏位(断裂の間接サイン)・石灰化・骨の変形
腱板そのものは映らない。モヤモヤ血管も不可
MRI 確定診断
断裂の部位・サイズ・筋萎縮を詳細に評価。部分断裂と完全断裂の区別が可能
「異常なし」でも痛みが続く場合、炎症・モヤモヤ血管が原因の可能性が高い
超音波(エコー)+ドプラ 当院で特に重視
腱の動き・断裂部位の確認、そしてドプラモードでモヤモヤ血管の血流信号を可視化
当院で特に重視。リアルタイムで観察でき、治療の標的確認にも使用
「MRIで異常なし」でも痛みが続く場合

MRIでは腱板断裂が映らないケースでも、エコーで腱付着部や肩峰下滑液包のモヤモヤ血管を確認できる場合があります。痛みの原因が「断裂」より「炎症と異常血管」にある証拠です。

当院使用のエコー機器。高解像度で腱と血流を同時評価します。
坂井医師によるエコー診察。診察室で痛みの血流変化を即座に確認できます。

⑥ 似た病気との見分け方

肩の痛みは腱板断裂だけでなく、複数の疾患が重なっていることがあります。以下の病気との見分けが重要です。

五十肩
(凍結肩・拘縮肩)
自分でも他人の手を借りても全方向に動かない「拘縮」が特徴。腱板断裂は他動的にはある程度動く。
石灰沈着性腱板炎
カルシウムが腱板に沈着。突然の激痛が特徴。レントゲンで白い石灰化陰影が映る。治療後に劇的改善することが多い。
肩峰下滑液包炎
腱板断裂と合併しやすい。腱板と骨の間のクッション(滑液包)が炎症を起こす。エコーで液体貯留を確認。
頚椎症性神経根症
首の神経が原因。動かさなくても痛む・手や指のしびれを伴う。スパーリングテスト陽性。
肩鎖関節炎・変形
鎖骨の外側(肩の前上部)を押すと強い圧痛。腕を体の前で交差させると痛む(クロスボディテスト)。
胸郭出口症候群
腕を上げると手がしびれる・肩や腕全体がだるい。鎖骨・第一肋骨付近の神経血管が圧迫される疾患。

⑦ 治療法

治療は「保存療法(手術なし)」を基本として、改善しない場合に血管内治療を検討します。まずは身体への負担が少ない方法から順に試みます。

STANDARD TREATMENT
保存療法(標準治療)
まず試みる6つの治療法と、それぞれの限界
🏠
安静・湿布・消炎鎮痛薬
急性期の炎症を抑え、痛みを和らげる。痛みの出る動作を避ける
根本治療ではない。痛みが落ち着いたらリハビリが必要
🏃
リハビリテーション
残った腱・周囲筋の強化。肩甲骨安定化トレーニング
最も重要な保存療法。夜間痛が強い時期は難しい場合も
💉
ヒアルロン酸注射
関節の潤滑改善・軽度の抗炎症作用
断裂には直接効かない。効果が出るまで複数回必要なことが多い
体外衝撃波療法
腱付着部の血流促進・組織修復の促進
保険適用外のクリニックが多い。効果には個人差がある
🩸
PRP(多血小板血漿)療法
自己血液から修復因子を抽出して注射。組織修復を促進
自費診療。エビデンスが蓄積中。効果に個人差あり
🤲
整体・鍼灸・マッサージ
筋緊張の緩和・リラクゼーション
モヤモヤ血管には届かないため、慢性化した痛みの根本解決にはなりにくい

なぜ保存療法だけでは治らない場合があるのか

湿布・ステロイド・リハビリはいずれも「モヤモヤ血管そのもの」を減らすことができません。異常血管が残る限り炎症の発生源は消えず、ステロイドで一時的に火を消しても血管が残っていれば再燃します。

OUR TREATMENT
当院の専門治療
保存療法で改善しない慢性・難治性の有痛性腱板断裂へのアプローチ

当院の血管内治療は、痛みの根源であるモヤモヤ血管に直接働きかける治療です。エコーで血流を確認した上で、症状の強さ・罹患期間に応じて最適な方法を選択します。

日帰り・外来

注射治療(ステロイド)
(エコーガイド下注射)

方法 超音波(エコー)を見ながら炎症部位にステロイドを正確に注入。異常血管周囲の炎症を直接抑制する
所要時間 約5分。当日帰宅可能
回数の目安 月1回程度。効果を確認しながら複数回実施
麻酔・入院 麻酔不要・入院不要
適応 初回治療・軽〜中等症の夜間痛・カテーテル前の効果確認にも
精密・根治的アプローチ

カテーテル治療(TAME)
(経動脈的微細血管塞栓術)

方法 手首の動脈から極細のカテーテルを挿入し、患部の異常血管に直接アプローチ。一時的塞栓物質で異常血管を物理的に減少させる
所要時間 約40〜60分。当日帰宅可能
回数の目安 基本1回(効果確認後に注射治療追加検討)
麻酔・入院 局所麻酔・入院不要
適応 夜間痛が強い方・保存療法抵抗性の難治例・外科手術回避希望の方
カテーテル治療前後の血管撮影画像。棘上筋腱周囲の炎症(モヤモヤ血管)が治療後に減少しています。
💡 目指すのは「切れていても、痛くない肩」

カテーテル治療で腱板の断裂そのものが治るわけではありません。しかし、腱板が切れていても痛みなく生活している方は大勢います。痛みの原因は「切れていること」だけではなく、炎症(モヤモヤ血管)が大いに関係しているからです。モヤモヤ血管を減らすことで、「腱板は切れているけれど痛くない」という状態に近づける可能性があります。そして炎症と痛みが減った後は、リハビリ(コンディショニング)で肩を支える力を取り戻すことが重要です。

📍 福岡・長崎どちらでも受けられます

注射治療・カテーテル治療はいずれも福岡ペインケアクリニック(福岡市博多区中洲)とながさきハートクリニック(長崎市)の両院で対応しています。

使用するマイクロカテーテル。非常に細く、血管への負担を最小限に抑えます。
カテーテル治療中の様子。局所麻酔・日帰りで実施します。
福岡ペインケアクリニックのカテーテル室。最新の血管撮影装置を備えています。
EVIDENCE
エビデンス(学術的根拠)
国内外の論文が示す、経動脈的塞栓術の有効性データ
📄 参考論文 Okuno Y, et al. 2022 — 難治性夜間肩痛への血管内治療(日本・多施設) 参考文献を見る

Okuno Y, et al. 「Transarterial Embolization of Neovascularity for Refractory Nighttime Shoulder Pain: A Multicenter, Open-Label, Feasibility Trial.」 J Vasc Interv Radiol. 2022;33(12):1468-1475. 日本国内5施設で、保存療法で改善しなかった夜間肩痛100例(症候性腱板断裂24例・拘縮肩76例)に血管内治療(TAE)を行い、6ヶ月間観察した多施設試験。全例で異常血管(モヤモヤ血管)が確認され、腱板断裂群と拘縮肩群で改善率に差はありませんでした。

100
対象症例数(腱板断裂24例含む)
75%
夜間痛スコア減少(6ヶ月)
100%
異常血管を確認
0
重篤な合併症
夜間痛スコア(NRS)の推移 10点満点・低いほど痛みが少ない
6.4
治療前
3.4
1ヶ月後
2.3
3ヶ月後
1.6
6ヶ月後

※ NRS(数値評価スケール):0=痛みなし、10=最大の痛み。夜間痛スコアは治療前6.4から6ヶ月後1.6へ低下(P<0.001)。腕を前に上げられる角度(可動域)も97°→151°に改善しました。数値は文献の平均値で、効果には個人差があります。

TREATMENT FLOW
治療選択フロー
エコー評価の結果から最適な治療を選択します
🔍 あなたに合う治療はどれ? まずエコーで状態を確認します
STEP 1|エコー診断で炎症範囲・断裂サイズ・モヤモヤ血管の程度を評価
軽〜中等症・初回治療
ステロイド注射治療
処置 約5分 / 麻酔不要 / 月1回程度
エコーガイド下で正確に炎症部位へ
難治例・夜間痛強い・広範囲
カテーテル治療(TAME)
処置 約40〜60分 / 局所麻酔 / 基本1回
異常血管を根元から塞栓
STEP 3|リハビリ(コンディショニング)で再発予防
※ 治療法はエコー所見と症状に応じて個別に決定します。
PRICE
料金(自費診療)
注射治療(ステロイド)
片側・両側 同額
福岡ペインケア
クリニック
6,600
ながさき
ハートクリニック
5,500
カテーテル治療(TAME)
両院共通
片側
308,000
両側
385,000

【主なリスク・副作用】刺入部の内出血(約4%)、薬剤・造影剤によるアレルギー反応(約2%)、治療部位の一時的な痛みの増加(約5%)が生じることがあります。いずれも多くは自然に軽快します。効果には個人差があります。

保険・医療費控除について

痛みの血管内治療は全て自由診療(保険適用外)です。ただし、確定申告における医療費控除の対象となる場合がありますので、領収書は大切に保管してください。なお、カテーテル治療は日帰り手術として民間生命保険の給付対象となることがあります。ご加入の保険会社にご確認ください。

⚠️ こんな方は慎重に/治療が難しい場合があります
  • 完全麻痺状態:腕が全く上がらず重度の神経麻痺がある方
  • 感染の疑い:発熱・強い腫れがあり細菌感染(化膿性関節炎)が疑われる方 → まず整形外科へ
  • 造影剤アレルギー:カテーテル治療では事前アレルギー検査で確認。重篤なアレルギー歴がある方は要相談
  • 重篤な腎機能障害:造影剤の代謝に問題がある方は代替手段を検討
  • 高い競技復帰を目指す若年アスリート:腱の縫合手術の方が適している場合があります
AFTER TREATMENT
治療後の経過とリスク
治療後の回復イメージと副作用について
治療直後〜1週間
一時的に患部の重だるさが増すことがあります(治療反応・約5%)。刺入部に内出血(約4%)、薬剤・造影剤によるアレルギー反応(約2%)が出ることがあります
数日で落ち着くことが多く、内出血も1〜2週間で自然消失します
1〜2ヶ月後
「夜中に目が覚める回数が減った」「着替えのズキッとした痛みが和らいだ」「腕が少し上がりやすくなった」といった変化が現れます
✅ モヤモヤ血管が減るに従い、じわじわと改善していきます
3〜6ヶ月後
炎症と痛みが減ったこの時期こそ、リハビリ(コンディショニング)が重要です。インナーマッスルを鍛えて肩を支える力を取り戻し、再断裂・再炎症しにくい肩をつくります。ゴルフ・スポーツ復帰を目指す方も多いです
💡 治療効果の持続にはリハビリ(コンディショニング)との組み合わせが不可欠です
治療効果の個人差
罹患期間・断裂のサイズ・筋萎縮の程度によって効果の出方は異なります
「1回で夜間痛が消えた方」から「複数回かけて徐々に改善する方」まで様々です

⑧ 一般整形外科との違い

整形外科は腱板断裂の骨・腱の構造的な診断・手術を得意とします。一方で、慢性化した夜間痛・モヤモヤ血管への血管内介入は専門性が求められます。

一般整形外科
当院(血管内治療)
診断ツール
レントゲン・MRI中心
エコー(モヤモヤ血管確認)+MRI
治療の選択肢
内服・湿布・リハビリ・ステロイド注射
動注・カテーテル(TAME)・ハイドロリリース+リハビリ
ステロイド
症例により使用(繰り返しリスクあり)
ステロイド不使用(動注・カテーテル)
MRI異常なし
対症療法の継続が多い
エコーでモヤモヤ血管を確認→治療へ
入院
手術は1〜4週の入院が必要
全治療が日帰り
保険
保険診療が多い
動注・カテーテルは自費。診察・エコーは保険適用の場合あり
🎯 当院が最も力になれる患者さん

保存療法を3か月以上続けても痛みが減らない方、「手術しかない」と言われたが手術は避けたい方、ステロイド注射を繰り返し打ってもすぐぶり返してしまう方——そのような方が当院の最も得意とする患者層です。

FIRST STEP
まず、エコーで確認してみませんか?
MRIで「断裂あり」と言われていても、痛みの原因が断裂か血管かはエコーを見るまでわかりません。
まずは気軽にLINEでご状況をお聞かせください。受診前の質問もOKです。
※ LINE相談無料。治療の強制はありません。「まだ迷っている」という段階でも大歓迎です。

⑨ 治療実例

70代男性・腱板断裂
湿布も効かない肩の痛みが、カテーテル治療で改善

夜間や安静時も眠れないほどの肩の痛みと腕のしびれ。エコーで棘上筋腱・肩甲下筋腱の部分断裂とモヤモヤ血管を確認し、日帰りカテーテル治療を実施。痛みスコアはNRS 10→5、1ヶ月で95%改善し、手術を回避できました。

▶ 症例の詳細を読む

※ 効果には個人差があります。その他の症例は治療実例一覧をご覧ください。

⑩ よくあるご質問(FAQ)

患者さんからよくいただく質問にお答えします。診察・治療の判断はすべて個別の状態によります。

Q1. 腱板断裂は自然に治りますか?
一度切れた腱板が自然につながることは基本的にありません。ただし、炎症が落ち着けば「断裂が残ったまま痛みが消える」状態になることは多くあります。「痛みのない断裂」を目指すのが現実的な治療目標です。
Q2. 手術しなくても治せますか?
必ずしも手術は必要ありません。保存療法で6〜7割の方が日常生活を取り戻せます。改善しない場合、モヤモヤ血管へのカテーテル治療が選択肢になります。
Q3. なぜ夜中だけ肩がこんなに痛くなるのですか?
仰向けに寝ると肩への重みが集中して関節内圧が上昇します。さらに夜間は副交感神経が優位になり、炎症部位の異常血管(モヤモヤ血管)が拡張して発痛物質を放出しやすくなります。
Q4. 断裂しているのに痛くない人がいるのはなぜですか?
痛みの源は断裂そのものではなく「炎症とモヤモヤ血管」にあります。炎症が起きていなければ、腱板に断裂があっても痛みは生じません。60代以上の20〜30%が無症候性(痛みのない)断裂を持つとされています(Yamamoto et al. 2010)。
Q5. MRIで断裂と言われましたが、どのくらい深刻ですか?
MRI所見(断裂のサイズ)と痛みの強さは必ずしも一致しません。小さな部分断裂でも夜間痛が激しい方もいれば、大きな完全断裂でも日常生活に支障がない方もいます。まずエコーで血流を評価することをお勧めします。
Q6. 注射治療とカテーテル治療はどう違いますか?
注射治療(ステロイド)はエコーを見ながら炎症部位に薬剤を注入する方法で、約5分・麻酔不要・軽症向けです。カテーテル治療(TAME)は鼠径部からカテーテルを挿入し、異常血管を根元から塞栓する方法で、難治例や夜間痛が激しい方に向きます。どちらが適切かは初診時のエコー評価で判断します。
Q7. 治療費はいくらですか?保険は使えますか?
注射治療は福岡ペインケアクリニック6,600円・ながさきハートクリニック5,500円(1回・税込)、カテーテル治療は片側308,000円・両側385,000円(税込)です。現在は自由診療(保険適用外)ですが、確定申告の医療費控除対象です。カテーテル治療は民間生命保険の給付対象になることもあります。
Q8. 治療後いつから仕事やスポーツに復帰できますか?
デスクワークは翌日から可能です。力仕事は1〜2週間様子を見てから再開します。ゴルフ・テニスは2〜4週間後から段階的に再開するケースが多いです。個別の状況により医師と相談して決定します。
Q9. 福岡と長崎のどちらで受診できますか?
注射治療・カテーテル治療はいずれも両院で対応しています。福岡ペインケアクリニック(博多区中洲)では水〜土曜、ながさきハートクリニックでは月・火曜に痛みの血管内治療外来を行っています。
Q10. 造影剤アレルギーがある場合はカテーテル治療を受けられますか?
事前にアレルギー試験・前投薬(抗ヒスタミン薬・ステロイド)を行うことで対応できる場合があります。重篤なアレルギー歴がある方は詳細を伺った上で判断します。
Q11. 年齢が高くても受けられますか?80代でも大丈夫ですか?
はい。全身麻酔が不要なため、高齢者や手術リスクの高い方でも安全性が高いのが血管内治療の特長です。個別の全身状態を確認した上で判断しますが、80代の方にも治療を行った実績があります。
Q12. ステロイド注射を繰り返し受けています。カテーテル治療は効果がありますか?
むしろ、ステロイド注射の効果が短期間で切れてしまう方にカテーテル治療が効果を発揮するケースが多いです。ステロイドはモヤモヤ血管を消せないため、血管そのものを減らすカテーテル治療が根本原因にアプローチします。
Q13. 糖尿病がある場合、治療に影響はありますか?
糖尿病があると組織の修復力が落ち、炎症が長引きやすくなります。治療の効果が出るまで時間がかかる場合があります。血糖コントロールの状態(HbA1cなど)を確認した上で治療計画を立てます。
Q14. 五十肩との簡単な見分け方はありますか?
五十肩は「他人の手助けでも動かない」拘縮が特徴。腱板断裂は「自分では上がらないが、手伝えば上がる」「特定の角度だけ痛い」ことが多いです。正確な見分けにはMRI・エコーが必要です。
Q15. 治療後、再断裂・悪化のリスクはありますか?
血管内治療で腱そのものが修復されるわけではないため、無理な動作を続けると断裂が拡大するリスクはあります。治療後は炎症が落ち着いてからインナーマッスルのリハビリを行い、再炎症を防ぐことが重要です。

⑪ まとめ

  • 腱板が切れていても痛くない人は大勢いる——痛みの原因は「切れていること」だけでなく、炎症(モヤモヤ血管)が大いに関係しています。モヤモヤ血管を減らせば「切れているけれど痛くない」状態に近づける可能性があります。
  • MRI所見と痛みは一致しない——「大きな断裂でも無症状」「小さな断裂で激痛」はモヤモヤ血管の量が原因です。エコーで血流を評価することが正確な治療方針の決定に重要です。
  • ステロイド注射の繰り返しには限界がある——血管が残る限り炎症は再燃します。根本にあるモヤモヤ血管へのアプローチが必要です。
  • カテーテル治療(TAME)はステロイド不使用・日帰り・局所麻酔——全身麻酔・長期入院不要。翌日からデスクワークに戻れます。高齢者・糖尿病合併例にも対応しています。
  • 炎症と痛みが減った後はリハビリ(コンディショニング)が重要——インナーマッスルを鍛えて肩を支える力を取り戻すことが、再断裂・再炎症の予防と治療効果の持続につながります。
  • 日本の多施設研究で有効性が報告されている——腱板断裂を含む夜間肩痛100例の研究で、夜間痛スコアが治療前6.4から6ヶ月後1.6へ低下し、重篤な合併症はありませんでした(Okuno et al. 2022)。
  • 「手術しかない」と言われた方にも選択肢がある——保存療法→血管内治療→手術と段階的に検討でき、手術を回避できるケースも多くあります。
  • 福岡ペインケアクリニック・ながさきハートクリニックで受診可能——まずはLINEでお気軽にご相談ください。
CONTACT
ここまで読んでくださった皆さまへ
「注射しても戻る」「外科手術は怖い」「年齢のせいと言われた」——
そんな方にも、日帰り・ステロイド不使用・翌日デスクワーク復帰可能な
カテーテル治療という選択肢があります。まず一度、肩の状態を診させてください。
※ LINE相談無料。診察後に治療方針をご説明します。
監修医師
坂井 伸彰(さかい のぶあき)
福岡ペインケアクリニック 院長 / ながさきハートクリニック 痛みの血管内治療外来
日本専門医機構認定内科専門医 / 日本医師会認定スポーツ健康医
循環器内科医としての血管治療技術を応用した「痛みの血管内治療」を専門とし、2,500例以上の血管内治療を経験。有痛性腱板断裂を含む難治性疼痛に対して地元九州で動注治療・カテーテル治療を行っている。
REFERENCES — 参考文献
  1. Okuno Y, Yasumoto T, Koganemaru M, et al. Transarterial Embolization of Neovascularity for Refractory Nighttime Shoulder Pain: A Multicenter, Open-Label, Feasibility Trial. J Vasc Interv Radiol. 2022;33(12):1468-1475.e8.(PMID: 35995121)
  2. Yamamoto A, et al. Prevalence and risk factors of a rotator cuff tear in the general population. J Shoulder Elbow Surg. 2010;19(1):116-120.
  3. Okuno Y, Iwamoto W, Matsumura N, et al. Clinical outcomes of transcatheter arterial embolization for adhesive capsulitis resistant to conservative treatment. J Vasc Interv Radiol. 2017;28(2):161-167.
  4. 日本整形外科学会「肩腱板断裂診療ガイドライン 2014」南江堂.
  5. 奥野祐次 著『長引く痛みの原因は、血管にあった』ワニブックス, 2016.

九州ペインケアネットワーク
Kyushu PainCare Network

福岡ペインケアクリニックと、ながさきハートクリニックは、
モヤモヤ血管治療が受けられるクリニックで、同水準の治療とサポート体制を提供しています。

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