オスグッド病
オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)
膝下の出っ張り・成長期の膝痛が治らない
ジャンプの着地でズキッと走る膝下の痛み。「成長痛だから仕方ない」と言われ続けて、もう半年が過ぎた——そんなお子さんと、心配で見守るご家族のために、このページを書きました。
オスグッド病は成長期に特有のスポーツ障害です。多くは安静やストレッチで改善しますが、「何ヶ月休んでも戻る」「大人になっても痛みが消えない」というケースでは、骨と腱の境目に「モヤモヤ血管(異常な新生血管)」が増殖しており、これが難治化の正体です。当院ではこのモヤモヤ血管を血管の内側から直接減らすカテーテル治療(TAME)を行っています。
- 慢性化したオスグッド病が治らない理由:骨と腱の境目に「モヤモヤ血管」が根を張り、安静だけでは消えない痛みの回路ができてしまいます
- 「治らない痛み」の正体はモヤモヤ血管:炎症が長引くと異常な新生血管が神経とともに増殖し、わずかな刺激でも強い痛みを感じ続けます
- 当院の治療はカテーテル治療(TAME):骨端線閉鎖後(目安:高校生以上)の難治例・遺残型オスグッド病に対応しています
- エビデンスに基づく治療:近縁疾患である膝蓋腱炎(ジャンパー膝)89例の多施設研究では、痛みスコアの有意な改善と約9割の競技復帰が報告されています
- 局所麻酔・日帰り・ステロイド不使用:翌日から日常生活が可能です
① オスグッド病とは
オスグッド病(オスグッド・シュラッター病)は、成長期の膝蓋腱が脛骨粗面(膝のお皿の指2〜3本下の骨)を繰り返し引っ張ることで炎症と骨隆起が起き、ジャンプやダッシュで膝下に強い痛みを生じる成長期スポーツ障害です。慢性化した痛みの患部には異常血管(モヤモヤ血管)が増殖しており、これが難治化の原因と考えられています。
腱と骨の中で何が起きているのか
成長期の骨は急速に伸びますが、筋肉や腱の柔軟性は追いつきません。強力な大腿四頭筋が膝蓋腱を経由して脛骨粗面を繰り返し引っ張り続けると、骨と腱の境目に炎症が生まれます。これが繰り返されることで骨が少しずつ盛り上がってくるのです。
そして炎症が長引くと、修復のために「モヤモヤ血管(異常新生血管)」が神経とともに増殖。この血管が痛みの発信基地となり、湿布や安静では届かない「治らない痛み」を作り出します。
当院では、この「モヤモヤ血管」を標的に、カテーテルを使って血管内から直接塞栓・減少させるTAME(経動脈的微細血管塞栓術)を行っています。ストレッチや湿布が「外側から」のアプローチであるのに対し、痛みの発生源そのものに届く治療法です。
② 症状・セルフチェック
オスグッド病の主な症状は、膝のお皿の2〜3cm下にある骨の出っ張りと、その部位の運動時痛・圧痛です。特にジャンプやダッシュなど大腿四頭筋が強く収縮する場面で鋭い痛みが走ります。
バスケのリバウンド着地、バレーのスパイク後の着地——大腿四頭筋が強く収縮する瞬間に「ズキッ」と電気が走るような鋭い痛みが膝下に出ます。
出っ張った骨を軽く押しただけで飛び上がるほど痛みます。膝をついたり、正座で骨が床に当たるだけで強い痛みが走り、日常動作が困難に。
太ももの前(大腿四頭筋)が常に硬く張っていて、深くしゃがむと患部がつっかえる感覚があります。ストレッチをすると患部が引っ張られて痛い。
お皿の下2〜3cmに丸い硬い骨の突起が現れます。炎症を繰り返すほど出っ張りは大きくなり、成長が止まっても形は残ります。
休むと楽になるのに、練習を再開すると数日でまた同じ痛みが戻る——この繰り返しが慢性化のサインです。モヤモヤ血管が定着しているかもしれません。
踏み込みが弱くなった、ジャンプ力が落ちた、ダッシュのスタートで踏み切れない——痛みをかばうフォームが定着することでパフォーマンス全体に影響します。
3個以上当てはまる場合は受診を検討してください
- 10〜16歳で、サッカー・バスケ・バレー・陸上などを週3回以上している
- 膝のお皿の指2〜3本分下の骨が出っ張っていて、触ると激しく痛む
- ジャンプの着地・階段の下り・蹴る動作で膝下に鋭い痛みが走る
- 正座や膝立ちをすると出っ張りが床に当たって激しく痛い
- 安静にすると楽になるが、練習を再開するとすぐに痛みが戻る
- 湿布・サポーター・整骨院に通っているが、半年以上改善していない
- 大人(18歳以上)になっても膝下の痛みが続いている
- 太ももの前を伸ばすストレッチをすると患部が引っ張られて痛い
- MRIで「異常なし」と言われたのに強い痛みが続いている
転倒や衝突の直後から「歩けないほどの激痛」が続き、膝の形が明らかに変わっている場合は剥離骨折の可能性があります。患部が赤く腫れ上がり38℃以上の発熱がある場合は感染症が疑われます。いずれもセルフケアで対応できない状態ですので、早急に整形外科を受診してください。
③ なぜ起こるのか(原因)
オスグッド病は単なる「使いすぎ」ではなく、成長期特有の身体構造と複数の要因が重なって起きます。直接原因は牽引ストレスですが、「なぜ長引くのか」には異常血管の増殖が深く関わっています。
2010年代以降の研究で、長引く腱・骨付着部痛の多くに新生血管が関与することが分かっています。正常な腱・骨付着部にはほとんど血管がありませんが、慢性炎症が続くと修復のために新しい血管が伸びてきます(新生血管)。この血管は細く曲がりくねり、痛みを感知する神経線維と一緒に増殖するため、わずかな刺激でも過敏に痛みを感じる状態が続きます。超音波(エコー)検査のドプラモードで血流として可視化できます。
④ 放置するとどうなる?
成長期に骨が固まる前に無理を続けると、変形や剥離が進み「遺残性オスグッド病(後遺症)」になるリスクがあります。一方で過度な安静は筋力低下を招き、復帰後の再燃につながります。
ステロイド注射は炎症を一時的に抑えますが、成長期の骨端部への繰り返し投与は腱の脆弱化・骨端損傷のリスクが指摘されています。また根本原因のモヤモヤ血管には作用しないため、「注射で楽になる→また痛くなる→また注射」のサイクルが続くケースがあります。
⑤ 検査
オスグッド病の診断は問診・触診・画像検査の組み合わせで行います。特に当院では、一般的な画像検査では見えない「モヤモヤ血管」をエコーで確認できることが大きな強みです。
MRIは骨や軟部組織の「形態変化」をよく捉えますが、腱内に増殖した細い異常血管(モヤモヤ血管)は写りにくいことがあります。エコー検査でドプラ(血流)モードを使うと、MRIで見えなかった血流異常を確認できるケースが多くあります。「異常なし=原因不明」ではありません。
⑥ 似た病気との見分け方
膝下の痛みはオスグッド病だけではありません。似た症状を持つ疾患を正しく見分けることが、適切な治療への第一歩です。
⑦ 治療法
オスグッド病の治療は成長期の保存療法が基本です。ただし半年以上改善しない難治例・成人後の遺残型には、異常血管(モヤモヤ血管)にアプローチするカテーテル治療(TAME)が有効な選択肢となります。
なぜ保存療法だけでは治らない場合があるのか
湿布・サポーター・ストレッチはすべて「外側から」のアプローチです。慢性化した痛みの発生源である「モヤモヤ血管」には届かないため、一時的に楽になっても繰り返すのは構造上避けられません。「半年休んでも再開するとすぐ戻る」のはそのためです。
当院の血管内治療は、痛みの根源であるモヤモヤ血管に直接働きかける治療です。エコーで血流を確認した上で、カテーテル(TAME)で異常血管を選択的に塞栓・減少させます。
福岡ペインケアクリニック(福岡市博多区中洲)および ながさきハートクリニック(長崎市)でカテーテル治療に対応しています。まずはLINEでお気軽にご相談ください。
造影剤アレルギーの既往がある方、腎機能が著しく低下している方、感染症が活動中の方、血液凝固障害がある方は治療を行えない場合があります。また骨端線が未閉鎖の成長期(目安として中学生以下)への適用は慎重な判断が必要です。LINEでご相談いただくか、診察時にご確認ください。
Transcatheter Arterial Embolization of Abnormal Neovessels for Patellar Tendinopathy: A Safety Evaluation: A Proof-of-Concept Study.
Orthopaedic Journal of Sports Medicine. 2025;13(6). DOI: 10.1177/23259671251337093
多施設・後ろ向き研究/89例/平均追跡31.2か月(最長7年)/当院院長・坂井が共著者として参加
・89例中80例(約9割)が1年以内にフルトレーニングへ復帰(平均約14週)
・エコー上も新生血管の減少と腱の厚み・構造の改善を認めました
・重大な合併症はなく、腱断裂は1例もありませんでした(一時的な痛みの増強や穿刺部の内出血は数例ありましたが、いずれも1週間以内に自然軽快)
痛みの血管内治療は全て自由診療(保険適用外)です。ただし、確定申告における医療費控除の対象となる場合がありますので、領収書は大切に保管してください。なお、カテーテル治療は日帰り手術として民間生命保険の給付対象となることがあります。ご加入の保険会社にご確認ください。
⑧ 一般整形外科との違い
整形外科は骨・神経的な原因の除外や診断を得意とします。一方で、慢性的な腱付着部炎・モヤモヤ血管への介入は専門性が求められます。
「整形外科でMRI・レントゲンに異常なしと言われた」「湿布・サポーター・整骨院を半年以上続けているが変わらない」「大人になっても膝下の痛みが消えず、スポーツが楽しめない」——そのような方が当院の最も得意とする患者層です。
「本当にモヤモヤ血管があるのか」「自分は治療の対象なのか」——エコー検査で原因を確認するだけでも、次の一手が変わります。まずはLINEで症状をお聞かせください。
⑨ 治療実例
実際に当院でカテーテル治療を受けられた患者さんの経過をご紹介します。
⑩ よくあるご質問(FAQ)
患者さん・ご家族から多く寄せられる質問にお答えします。
成長痛は主に夜間に膝・ふくらはぎ全体が漠然と痛む状態で、原因は明確ではありません。一方オスグッド病は「脛骨粗面への繰り返しの牽引ストレス」という明確な原因があり、痛む場所も「膝のお皿の下の骨」に限定されます。触ると激痛がある・骨が出っ張っているという所見があれば、成長痛ではなくオスグッド病です。放置すると変形や慢性化のリスクがあるため、整形外科での診断をお勧めします。
はい。成長期に剥がれた骨が癒合しないまま「遊離骨片」として残ると、大人になっても運動・正座・膝立ちで炎症が再燃し、痛みが続く「遺残性オスグッド病(後遺症)」になります。この状態では患部にモヤモヤ血管が定着しており、保存療法だけでは改善しにくくなります。当院では成人の遺残型にもカテーテル治療で対応しています。
一度隆起して固まった骨(脛骨粗面の突出)は、手術で骨を削らない限り形そのものは戻りません。カテーテル治療の目的は「骨の形を変える」ことではなく、「出っ張っていても痛くない状態にする」ことです。異常血管を減らすことで炎症を沈静化させ、運動時の痛みや圧痛の改善を目指します。
基本的には骨の成長が終了した時期(骨端線が閉鎖した後、目安として高校生以上)への適用が中心です。成長期の骨端線がまだ開いている状態での治療は、骨の発育に影響する可能性を排除できないため、原則として行っておりません。まずは徹底した保存療法を行い、高校生以上になっても改善しない場合にご相談ください。
激痛がある急性期には、骨の剥離を進行させないために運動を控える期間が必要です。無理を続けると治癒が遅れ、変形が悪化するリスクがあります。カテーテル治療後は翌日から日常生活・軽い動作が可能で、スポーツへの段階的な復帰は痛みの改善を確認しながら担当医と相談して決めます。長期的なパフォーマンスを守るための治療計画を一緒に立てましょう。
多くの場合1〜2回の治療で効果を確認します。1回の治療後1〜3ヶ月で痛みの改善が見られるケースが多く、効果不十分な場合は追加治療を検討します。症状の重さや異常血管の範囲によって異なるため、治療計画は診察後に個別にご説明します。
カテーテル治療当日は穿刺部(鼠径部)の安静が必要ですが、翌日から日常生活・デスクワークは可能です。スポーツへの段階的な復帰は、痛みの改善具合・競技の種類によって異なります。近縁疾患である膝蓋腱炎の研究(89例)では、軽いトレーニング再開までが平均約8週、フルトレーニング復帰までが平均約14週と報告されています。復帰の時期は症状の経過やエコー所見を確認しながら、担当医と相談して段階的に決めていきます。
MRIは骨や軟部組織の「形態の変化」をよく捉えますが、腱内・付着部に増殖した細い異常血管(モヤモヤ血管)は写りにくいことがあります。エコー検査でドプラ(血流)モードを使用すると、MRIで見えない血流異常を確認できるケースが多くあります。「形には異常がないのに痛い」という状態は、神経と共に増殖した異常血管が過敏な痛み回路を作っているサインかもしれません。
カテーテル治療は自由診療(保険適用外)です。費用は片側308,000円、両側385,000円(いずれも税込)で、学生の方は半額となります。医療費控除の対象となる場合がありますので、確定申告に備えて領収書は大切に保管してください。また日帰り手術として民間生命保険の給付対象となることがありますので、ご加入の保険会社にご確認ください。
造影剤アレルギーの既往がある方は、カテーテル治療を行えない場合があります。過去に造影剤使用後に発疹・かゆみ・息苦しさなどの症状が出たことがある場合は、必ず初診時にお申し出ください。アレルギーの重症度・種類によっては、事前に抗アレルギー薬を使用したうえで対応できるケースもありますので、まずはご相談ください。
はい。福岡ペインケアクリニック(福岡市博多区中洲5丁目)と ながさきハートクリニック(長崎市)いずれでもカテーテル治療に対応しています。診療日・診療時間は各クリニックのホームページをご確認ください。まずはLINEでのご相談をお勧めします。
再発予防には、大腿四頭筋・ハムストリングスの柔軟性を保つ継続的なストレッチが最も重要です。また練習量の急増を避けること、硬い地面での練習頻度を減らすこと、クッション性の高いシューズを使うことも効果的です。カテーテル治療後もセルフケアを怠ると再燃するケースがあります。治療後のフォローアップで体の使い方も含めてアドバイスします。
⑪ まとめ
- オスグッド病は「成長痛」ではなく、脛骨粗面への繰り返しの牽引ストレスによる骨付着部炎——慢性化すると異常血管が根を張り、自然治癒しにくくなります
- 湿布・サポーター・ストレッチが効かない理由がある——外側からのケアではモヤモヤ血管には届きません。根本に届く治療が必要です
- 「MRI異常なし」は原因不明ではない——エコー検査でモヤモヤ血管を確認することで、初めて原因が見えてきます
- 当院のカテーテル治療(TAME)は骨端線閉鎖後の難治例・遺残型に対応——ステロイド不使用・日帰り・局所麻酔
- 近縁疾患の膝蓋腱炎では89例中約9割が1年以内に競技復帰——腱断裂などの重大な合併症は報告されていません(効果には個人差があります)
- 「出っ張りがあっても痛くない状態」を目指す——骨の形は変わらなくても、スポーツを楽しめる体に戻ることが目標です
- 福岡・長崎いずれでも対応——まずはLINEでお気軽にご相談ください
「成長が止まれば治る」と言われ続けて、何年も経っていませんか。安静にすると楽になるのに、再開するとまた戻る——そのサイクルを繰り返している間にも、モヤモヤ血管は定着していきます。カテーテル治療は日帰り・ステロイド不使用で、痛みの発生源そのものにアプローチする治療法です。
「まだ迷っている」「本当に適応があるのか知りたい」という段階でも構いません。まずは現在の症状をLINEでお聞かせください。
日本専門医機構認定 内科専門医 / 日本医師会認定スポーツ健康医
循環器内科医としての血管治療技術を応用した「痛みの血管内治療」を専門とし、2,500例以上の血管内治療を経験。オスグッド病(遺残性オスグッド病)を含む難治性疼痛に対して地元九州でカテーテル治療・動注治療を行っている。
院長の経歴・学術実績を見る →
- Inui S, Onishi K, Kochi AT, Shibuya M, Miyazaki K, Nakata M, Kawabe A, Nakasone T, Sakai N, Okuno Y. Transcatheter Arterial Embolization of Abnormal Neovessels for Patellar Tendinopathy: A Safety Evaluation: A Proof-of-Concept Study. Orthop J Sports Med. 2025;13(6). DOI: 10.1177/23259671251337093
- Okuno Y, Matsumura N, Oguro S. Transcatheter arterial embolization using imipenem/cilastatin sodium for tendinopathy and enthesopathy refractory to nonsurgical management. J Vasc Interv Radiol. 2013;24(6):787-792.
- Gisslén K, Alfredson H. Neovascularisation and pain in jumper's knee: a prospective clinical and sonographic study in elite junior volleyball players. Br J Sports Med. 2005;39(7):423-428.
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- Osgood RB. Lesions of the tibial tubercle occurring during adolescence. Boston Med Surg J. 1903;148:114-117.
- 奥野祐次 著『長引く痛みの原因は、血管にあった』ワニブックス, 2016.
九州ペインケアネットワーク
Kyushu PainCare Network
福岡ペインケアクリニックと、ながさきハートクリニックは、
モヤモヤ血管治療が受けられるクリニックで、同水準の治療とサポート体制を提供しています。


